応用心理学は、心理学を世の中に役立てるためにあるといっても過言ではありません。知見を活かしたたくさんの職業があり、その有用さを証明するため資格があります。それぞれの概要をお伝えするので、学びや就職活動の参考にしてください。
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臨床心理学
何といっても、心理の仕事といえば、臨床心理学を基盤においた、臨床心理士が一番なじみがあるでしょう。臨床心理学は、前述のとおり、「(病)床」に「臨む」と書くように、個々人とかかわりあい、その支援を行っていく方法を研究する学問です。
臨床心理士といえばカウンセラーと同じだと思われがちです。しかし、全く同じ意味ではありません。臨床心理士は資格の名称であり、カウンセラーは職業や役割の名称です。
カウンセラーは、クライエント(顧客)を1対1の面接によって支援します。主に使われるスキルは傾聴と言われるものです。臨床心理士は、1対1の面接が主ではありますが、臨床心理学から得られた様々な知見を用います。
認知行動療法や精神分析的療法などの各種心理療法、学校や会社などにアドバイスするコンサルテーション、臨床心理学的な研究も臨床心理士の業務範囲です。
【関連する資格】
臨床心理士
各種カウンセラー資格
精神科医師
精神保健福祉士
【関連する仕事】
カウンセラー、セラピスト
研究職
等
「臨床心理学とは?」という疑問について詳しく解説した記事はこちら
教育心理学
教育心理学は、効果的な教育方法や、心理学的な観点からみた学校教育のありかたなどについて研究する、非常に幅広い分野です。他の専門分野とも深いつながりがあります。基礎系では認知心理学、学習心理学、発達心理学、社会心理学など。応用心理学では、臨床心理学と関連しています。
【関連する資格】
教育カウンセラー
【関連する仕事】
学校教員(実務とのつながりはこちらの記事に詳しいです「教師を目指す人が心理学を学ぶべき3つの理由」)
教育相談室の相談員
心理技官
法務技官
家族心理学
家族心理学は、家族関係を専門とする心理学です。家族間の関係を実験心理学的に研究している人もいれば、家族関係を良好にするための臨床心理学的方法論を研究している人もいます。この分野の主な研究領域である家族療法は、双極性障害や統合失調症に有効だといわれています。
【関連する資格】
家族性腫瘍カウンセラー
家族心理士/家族相談士
【関連する仕事】
家庭裁判所調査官
家庭児童相談室の相談員
など
犯罪心理学
犯罪心理学は、犯罪が行われる心理的構造や、犯罪者の社会復帰に向けた矯正方法などを研究します。
【関連する仕事】
科学捜査研究所の専門職
少年鑑別所などの心理技官
など
産業心理学
産業心理学は、購買行動の構造や生産行動、組織を動かす方法や、経済活動とりわけ企業における精神的健康(いわゆるメンタルヘルス)などを扱います。
【関連する資格】
キャリア・コンサルタント
産業カウンセラー
産業心理カウンセラー
THP心理相談員
メンタルヘルスケア検定
メンタルヘルスマネジメント検定
ビジネス心理検定
【関連する仕事】
労働省の職員
企業の人事・労務担当者
商品開発の調査・研究
人間工学
人間工学は、心理学的・生理学側面から、人間にとって使いやすいものや環境を設計する学問です。対象とする領域は心理学のみではありませんが、重なる部分も大きくなっています。特に心理に関する領域を工学心理学と呼ぶ人もいます。
【関連する資格】
認定人間工学専門家
【関連する仕事】
機械メーカーなどの研究員、デザイナー
交通心理学
交通心理学は、交通事故の心理要因やドライバーの特性など、交通事故のようなトラブル防止に向けた心理学です。人間工学にも近い分野です。その中にもさらに交通発達心理学、交通社会心理学など細分化されます。
【関連する資格】
交通心理士、交通心理士補
【関連する仕事】
安全運転研修所の講師
自動車教習所の教官
警察の交通心理相談員
カウンセラーだけではない応用心理学の仕事
心理のプロといえばカウンセラーが有名ですが、それだけではありません。カウンセリングや心理テストを軸に、さまざまな職業と関わりがあります。興味のある分野は見つかったでしょうか。