「教育心理学では、何を勉強するのだろう?」「教育心理学は、どんなときに役立つの?」「勉強したら、どんな資格や仕事につながるのだろう?」。そのような疑問を持ち、教育心理学について知りたいあなたのために、3つのポイントを紹介します。

教育心理学とは?
教育心理学は、
「教育」という事象を理論的・実証的に明らかにし、教育の改善に資するための学問
日本教育心理学会編・『教育心理学ハンドブック』より
です。
別の表現をすると、「教育を行う中で出てくる課題に対して、心理学を使って解決を目指す学問」とも言えます。
教育と聞くと、学校での教育を思い浮かべることが多いと思いますが、家庭教育、地域や職場での社会教育、生涯教育など、「教育」が関わる広い範囲が含まれます。
教育心理学の主な研究分野は4つ
教育心理学の主な研究分野は、①発達、②学習、③パーソナリティ・適応、④測定・評価の4つです。ここでは、それぞれの研究分野を簡単に説明します。
①発達
人は一生の中で、心や体の発達・成長を繰り返します。教育では、心や体の発達・成長をサポートしていきます。そのため、発達は大切な研究領域です。
②学習
教育は、学習を積み重ねていくものです。学習の理論を、教育現場における学習指導などの課題に応用します。
③パーソナリティ・適応
教育では、パーソナリティ(人格)が育ち、形作る過程をサポートします。パーソナリティの理解は、そのサポートを行う上で欠かせません。
④測定・評価
より適切な教育を行うために、実践した教育の成果を検討する必要があります。客観的に成果を測定し、評価を繰り返すことで教育の成果を調べます。
教育心理学が社会で役立つとき

教育心理学は、学校現場で活用されることが多いです。学校教育では、さまざまな課題が見られます。例えば、不登校や非行、いじめ、子どもの持つ特性により個別のサポートが必要なケースなど、多種多様です。
教育心理学を用いて、集団(学級など)または子ども個人にアプローチを行い、子どもを理解・援助することで、その成長をサポートします。子どもを理解するときには一部分のみに注目してしまうのではなく、個人の発達や特性、パーソナリティ、周囲の環境など多面的な視点を持つことが大切です。また、目に見える課題を持っている本人だけが対象ではなく、サポートする対象は集団内の他の子どもも含まれます。
子どもを理解し、サポートするために、教育心理学の知識や研究が活用されています。親や学校などのサポート資源と協力・連携していくことも必要です。
教育心理学に関連する3つの資格
教育心理学に関連する3つの資格を紹介します。
①公認心理師
2017年に公認心理師法が施行され、2019年に公認心理師の登録が始まりました。比較的、新しい日本初の心理職の国家資格です。教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、実務経験を重ねてきた人が取得し、各現場で活躍しています。もちろん未経験でも、これから学んで資格を取得することが可能です。
スクールカウンセラーの仕事内容やソーシャルワーカーとの違いなどについての記事はこちら
②臨床心理士
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会のホームページによると、「臨床心理士とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”」です。民間資格で、5年ごとに資格更新手続きをする必要があり、専門家として学び続けていくことが重視されています。
③学校心理士
学校心理士は、学校などで活動する心理教育的援助の専門家です。学校生活のさまざまな問題について、カウンセリングなどによる子どもへの直接的援助を行います。また、子どもをサポートする立場である保護者や教師、学校に対しても、心理教育的援助サービスを行います。有効期間は5年間で、5年ごとに資格更新手続きをする必要があります。
他にも職業としては教師やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、教育心理学を活用する職業は幅広くあります。
教育心理学は、教育現場で活用・応用される心理学
教育心理学のポイントを3つに分けて紹介しました。教育心理学は、子どもや周囲の人をサポートし、課題解決を目指す学問です。活用・応用されている教育現場について「もっと知りたい」と興味を持ちましたら、教師やスクールカウンセラーなどの仕事についても調べてみることをおすすめします。
参考文献
教育心理学ハンドブック 日本教育心理学会 (編集) 有斐閣 2003年4月
子どものための心理学 青木智子・山村豊(編著) 北樹出版 2013年10月