高度な専門性を持つ!臨床心理士が行う4つの業務内容

臨床心理士の業務をイメージしてみると、カウンセリングや心理テストをしている姿が浮かぶのではないでしょうか。確かにそれらは重要な職務ですが、4つある業務領域の2つに過ぎません。心のプロである心理士は、他にも重要な仕事があります。それぞれの内容を紹介します。

4つのマカロン
それぞれ色彩の異なる4つの領域
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臨床心理面接はいわゆる心理療法

臨床心理学の理論に基づき、相談者と心理士との相互のやりとりによって、その人の心と行動の問題を解決しようとすることを臨床心理面接といいます。いわゆる心理療法と考えて差し支えありません。

心理カウンセリングをはじめとした多くの手法で共通するのは、相談者の自己理解や自発力を深めていき、認知情緒行動の適応性を図ることです。

その基盤は「深層心理学「精神力動論人間性心理学」などさまざまです。これらは手段こそ違いますが対象者の相互理解信頼関係にもとづく治療同盟が重要であることは同じです。心理士と相談者との人間関係の構築が臨床心理面接のキモなのです。膨大な知識経験を持ったうえでクライアントとの対話挑まなくてはならない、高度な専門性を持った仕事です

適切な臨床心理査定と密接な関係があり、線引きがあいまいになることもあります

さまざまな技術や方法論があり、大きな分類としては精神分析系やクライエント中心療法系、行動療法系などが挙げられます。

「臨床心理学とは?」という疑問について詳しく解説した記事はこちら

ますます期待される臨床心理査定

臨床心理査定は、臨床心理士としての専門性を生かして心理検査を行い、その結果から関わり方を見立てる業務です。具体的には、WAIS・WISCなど知能検査や、相談者に絵を描いてもらうバウムテストなどの方法を用います。検査

結果だけでなく、検査の中での態度や姿勢なども合わせて相談者の人となりと問題の背景を分析します。

主な対象者は発達障害児や知的障害者、精神障害を抱える人、学校などで困っている子どもなどです。このように何かしら生活に問題を抱えている人々のケアにあたっていきます。

ポイントは診断ではなく、査定であるということです。査定の内容から相談者固有の問題を明らかにしていきます。人の心理はみな一様でなく、理論が全てあてはまるとは限りません。その人その人に合った援助方法を少しずつ考えていくことになります。

必要に応じて対象者とその家族などの関係者、精神科医などと連携して行っていきます。特に学校や職場で問題を抱えている人は増えており、今後ますます臨床心理士の活躍の場が期待されている仕事でもあります。

大きなフィールドに立つ臨床心理地域援助

ホワイトボードを指し示して説明する人

臨床心理学的地域援助とは、個人を対象に行う業務ではなく、地域や職場、学校などの集団に対して、臨床心理学的に有効な支援活動を行うことです。臨床心理士が持つ技術はこのように地域社会の領域でも有効とされています。


対象者(顧客)は企業や地域、学校などの組織となり、それに対するコンサルティングという関わり方です。


例えば学校などで、問題を抱えている子供がいるとします。そのようなときに、その子どもに対してだけカウンセリングをするのではなく、学校としてどのような対応をして、どのような環境を整えていったら良いのかというような全体を見通した仕事の仕方が必要です。そのためには、その学校のすべての人に協力を要請し、協働で対策を行っていくことになります。このように、大きなフィールドで活躍することもできるのが臨床心理学的地域援助の魅力でもあり、やりがいでもあります。

実は大事な仕事である調査・研究

臨床心理学を中心とした心理学の調査・研究を行うのも重要な職務です。他の臨床心理士が発表した研究を読んで臨床心理査定や心理面接などに活かしたり、自分自身の研究結果を発表することで個人的な経験や知識を他の臨床心理士と共有したりできます。

公認心理師の業務領域は臨床心理士と重なる部分が多いのですが、基本業務に研究は挙げられていません。受験資格に大学院修了(または医師免許+臨床経験)が必須とされる臨床心理士「らしい」業務といえます。

公認心理師試験を受けるにあたっても基本的には大学院を修了し、実務にあたっては科学的な視点に基づいた対応が求められます。基本業務としての研究の有無は、学会認定資格である臨床心理士と国家資格である公認心理師との背景の違いを表した部分なのかもしれません。

臨床心理士資格は5年ごとの更新制です。調査・研究は、更新要件を満たす活動の一つに数えられています。重要な業務であり、また責務でもあるといえます。臨床心理士には、学術的な意識の高さへの人間への興味といった資質が求められるといってよいでしょう。専門性を磨いていくことも仕事の一つなのです。

臨床心理士は高度な専門職

臨床心理士の業務内容は多岐に渡ります。主な業務は、問題を抱える人と直接的に関わる臨床心理面接や関わり方を見立てる心理検査、問題解決に向けて間接的に対応する地域援助、臨床心理学の調査・研究の4つです。さまざまな立場で高い意識を持って望む臨床心理士は、非常に高度な専門性を持った職業といえます。

この記事を書いた人
しんきゃり編集部

心理学やカウンセリングに関する仕事の実態と魅力を伝えることをモットーに、情報発信していきます。心理学科卒のライター、書籍編集者、産業カウンセラーなどが在籍。

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