児童福祉司になるには?仕事内容における児童心理司との違いは?

児童相談所は心理学のキャリアを活かせる公務員の職場として、特に存在感を放っています。専門家としての人員は、主に児童福祉司と児童心理司がいます。今回は児童福祉司になるにはどうすればいいかや、仕事内容、児童心理司との違いなどを紹介します。

児童虐待(ネグレクト) の様子
画像出典:写真AC
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児童福祉司とは

児童福祉司は、児童相談所に勤務する相談員です。児童福祉法によって配置が定められています。児童相談所は全国の都道府県と指定都市に約200か所あり、約3,000人(2015年時点)の児童福祉司が働いています。

児童福祉司は任用資格です。資格要件を満たした上で実際の仕事に就くことで名乗れるようになります。

児童福祉司の仕事内容

児童福祉士の主な仕事は、子どもや保護者からの相談に対応することです。具体的には親の病気などによる養育困難や虐待、非行、障害や教育などがあります。

相談者の支援を行うために、社会環境の調査を行うことも重要な仕事です。場合によっては家族療法を用いて親子関係に介入することもあります。

児童心理司・児童指導員との違い

児童心理司は心理専門職として、心理学の知見を使った心理検査や心理療法などが主な仕事です。一方、児童福祉司はどちらかというと環境面を中心に支援します。採用過程も児童心理司は心理学系にほぼ限定されてるのに対し、児童福祉司は福祉系のキャリアから入る人も多くいます。

児童指導員という任用資格もありますが、勤務先は児童相談所ではなく発達支援センターなどの施設で、障害児の支援を行います。

児童福祉司になるには

児童福祉士になるためには厳しい資格要件を満たした上で、競争の激しい地方公務員試験に合格する必要があります。

メインルートは心理学科・教育学科・社会学科からの実務経験

児童福祉士になるためには次のいずれかの要件を満たした上で、地方公務員試験に合格して採用される必要があります。試験の種類は地方公務員試験上級・福祉職などが一般的です。

1.都道府県知事の指定する児童福祉司等養成校を卒業、又は都道府県知事の指定する講習会の課程を修了した者
2.大学で心理学、教育学もしくは社会学を専修する学科等を卒業し、指定施設で1年以上相談援助業務に従事したもの
3.医師
4.社会福祉士
5.社会福祉主事として2年以上児童福祉事業に従事した者であって、厚生労働大臣が定める講習会の課程を修了したもの
6.上記と同等以上の能力を有する者であって、厚生労働省令で定めるもの

(児童福祉法)

最も多いのは2の大学で心理学などを専攻し、1年以上の実務経験を積んだ人で、全体の1/3です。4の社会福祉士は27%で、この2つが全体の6割 を占めます(厚生労働省資料「児童福祉司の概要」より)。

6の厚生労働省で定める者としては、精神保健福祉士の他、看護師や助産師、保育士、教員免許を持つ人で、1~2年以上の実務経験があり、指定講習会を受けた人などが挙げられます。

実務経験を積む指定施設とは、児童相談所や精神保健福祉センター、市町村役場の精神障害者関連の部署、保健所、保育所、病院、老人ホーム、地域包括支援センター、発達障害者支援センターなどです。

今の時点で心理学を専攻している人は、地方公務員試験を受けて採用後、指定施設に配属されて経験を積むのが近道といえます。

資格要件に当てはまらない人は

高卒の人や大学で心理学・教育学・社会学のいずれも学習していない人が児童福祉司になるには、数年単位で考える必要があります。専門学校で社会福祉士の資格を取る、児童福祉司等養成校に通うなどのパターンが考えられます。

養成校は全国に3つしかありません。例えば国立武蔵野学院附属児童自立支援専門員養成所は1年間で児童福祉司の他にも社会福祉主事や児童指導員、児童自立支援専門員などの資格も取れます。授業料と寮費はかかりません。

通学が難しい場合は、中央福祉学院の児童福祉司資格認定通信課程でも児童福祉司の資格を取得できます。

児童福祉司の働き方

忙しそうなスーツの人のイラスト
画像出典:イラストAC

児童福祉司は地方公務員として働くため、給料体系は一般の公務員並みです。残業や休日出勤を含む多忙な日々を過ごす中で、専門家としてのキャリアを磨いていくことになります。

給料

児童福祉司の給料は自治体の規定によります。地方公務員の平均給与月額は約36万円です(総務省「地方公務員給与実態調査」より)。

休日は取りやすい?残業は?

児童福祉士の職場は多忙です。もともと業務の幅が多岐にわたる上、児童虐待の通報件数が増加傾向にあるため、仕事の絶対量が非常に多いからです。週刊東洋経済の調査では、平均残業時間が100時間を超える自治体もあるようです。

相談内容によっては緊急対応も必要となります。人命にかかわることもあるため、先延ばしできない仕事です。

児童福祉司のキャリア

実務経験を5年以上積み、一定の研修を受けるとスーパーバイザーとして指導的立場になれます。専門性の高い仕事なので、そのままキャリアを積んで児童相談所所長になるなど、児童福祉の道を深めていくのが一般的です。

児童福祉司は子供の幸せをサポートする専門家

児童福祉司は児童相談所に配置され、虐待防止や養育相談などの対応します。児童心理司との違いは、心理的な面に配慮しつつも、環境面の調査や改善を中心に行うことです。子どもの幸せな成長を支援することはハードである一方、やりがいのある仕事でもあります。

参考資料

厚生労働省「児童福祉司の概要等について」
東洋経済オンライン「児童相談所職員にのしかかる何とも過重な負担」

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この記事を書いた人
しんきゃり編集部

心理学やカウンセリングに関する仕事の実態と魅力を伝えることをモットーに、情報発信していきます。心理学科卒のライター、書籍編集者、産業カウンセラーなどが在籍。

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