少しの工夫で効果あり?色彩心理学の基本

身に着けている洋服の色を変えたら、なぜだか明るい気持ちになったり、友達の反応が変わったりした経験はありませんか。私たちは普段、無限ともいうべき色彩にあふれた環境の中で生活をしています。そして、その多彩な色たちは、人間に、心理的、感情的、そして身体的にも大きな影響を与えているのです。

並べて置かれたカラーペン
lab4artさんによる写真ACからの写真
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色彩心理学とは

デザイナーたちによる打ち合わせ風景
acworksさんによる写真ACからの写真

色彩心理学とは、色の持つ特徴や性質とともに、それらが人間に及ぼす心理的な効果を学んでいくものです。ファッションやデザインの他に、近年では、プレゼンテーションやマーケティングなど、商業的な分野に関しても研究が進められています。色の上手な使い方を知ると、少しの工夫で生活を心地良いものにできたり、商品の企画に利用できたりするのですから、興味深いですね。

色の見える仕組み

例えば、あなたが今、赤いシャツを着ているとします。そのシャツが赤く見えるのはなぜでしょうか。「シャツに赤い色がついているから」と思われるかもしれませんが、シャツが自発的に赤い色を出しているわけではありません。その証拠に、暗闇ではそのシャツは、まったく違う色に見えるか、少なくとも「赤色」には見えないでしょう。

シャツが赤く見えるには、光(光源)が必要です。光の当たったシャツは、赤の光だけを反射し、他の色を吸収します。その反射された光を見て、私たちは「赤色だ」と認識するのです。言い換えれば、脳が「光の情報」を取り入れることによって、人間は色を見ているということになります。

色が与える印象について

色を認知する仕組みがわかったところで、今度は、さまざまな色が与える具体的な印象について考えてみましょう。以下、一部を紹介します。

:私たちの体内を循環する血液の色です。強いエネルギー、健康、生きるための本能を表します。目立つので反応を促しやすいことから、集客のための看板の他、強い禁止や緊急性を示すもの(赤信号や消防車など)に使われることもあります。

:山や森林、木々の葉など自然と調和した色です。平和、心身のバランス、公平性などを表します。緑は、水晶体を動かさずに知覚できることから、目に優しい色だといわれています。

:副交感神経に作用し、リラックスをもたらす色です。冷静で知的な雰囲気を持ちますが、「忠誠」とか「信用」といった意味合いもあります。サラリーマンのスーツに紺色が多いのも、このためだという説があります。

:有彩色(白、灰、黒以外の色)の中では最も明るい色です。信号や工事現場など、注意喚起が必要な場所でよく見かけます。性差問わず子どもが好む色でもありますが、刺激が強いため「黄色だらけの部屋」は疲れてしまうかもしれません。小面積で使われると良いでしょう。

:日本では聖徳太子が最高位の色として用いたように、高貴で上品なイメージを持つ色です。行動的な赤と知的な青の混色であることから、テンションを上げつつ疲れをとる効果があるといわれています。

白:全ての色を反射した、最も明るい色です。何にも染まらないことから、純粋、潔癖、真実、平和などを表しています。医療従事者の衣服にもよく使われていますが、緊張感や警戒心を引き起こしやすい色だともいわれています。

黒:全ての光を吸収した色です。重厚さや格式を表す一方、妥協を許さず、社交を断つような禁欲的なイメージを持ちます。あまり癒しなどには使われませんが、刺激が全くないので疲れにくい色であるともいわれています。

色彩心理学を学ぶには?

カラーチップ
KAZUさんによる写真ACからの写真 

色彩心理学は、色が及ぼす心理的な影響を学ぶものであることから、心理学の学部や学科というよりも、住環境や服飾、メイク、造形芸術等に関連した領域で研究されることが多いようです。

色彩と心理との関係についてダイレクトに学びを深めたいのであれば、精神物理学、心理物理学などについて専門に学べる学部や院なども、数は少ないですが探すことができます。まだまだ新しい研究領域ですが、その分あらゆることに応用する可能性が開かれているといえるでしょう。

「生活にすぐ役立てたい」、「もっと身近なところで利用したい」ということであれば、色彩検定やインテリアコーディネーターなどの資格取得を目指しながら勉強してみても楽しいかもしれません。取り入れた知識は、その場ですぐに活かすことができるので、勉強のしがいがあると思います。

色彩のマジックはほんの少しの工夫で思いもかけない効果が得られる

私たちが普段から何気なく目にしたり選んだりしている色には、心理的な影響が隠されているものです。重く沈んだ気分のとき、晴れやかな色の洋服を着ようとは思わないでしょう。注目されやすく親しみやすい色を用いれば、人が話しかけてきて自分が疲れてしまうと感じているためかもしれません。逆に、ここ一番という勝負ごとのある日には、気合を入れるためにエネルギッシュな色のネクタイを選ぶこともあると思います。

光は、反射されたり吸収されたりして、さまざまな色のマジックを私たちに見せてくれます。意味を知ったり影響を考えたりするなど、色に意識を向けることは、文字通り生活に彩りを添えることになるでしょう。

色彩心理学の資格を紹介する記事はこちらをご覧ください。

この記事を書いた人
cocomomo

臨床心理士、公認心理師。上場企業の人事部、児童相談所、私設相談室カウンセラーを経て、現在は主にクリニックにて心理検査やカウンセリングを担当。恋愛に関することから親子関係まで、日々さまざまな悩みに寄り添う。

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