「面接で落ちたら嫌だな…」「どうしたら採用してくれるんだろう…」面接の日が近づくと緊張しますね。特に前日ともなれば、不安で眠れないということもあるかもしれません。そこでこの記事では、面接で好印象を与える心理学のテクニックをご紹介します。誰でも簡単にできる内容なので、すぐに活用できます。心理学を使って、面接官の心と合格をわしづかみにしてしまいましょう!
初頭効果【あいさつで面接の結果が決まる?】
面接官に好印象を抱いてもらうためには、見た目やあいさつなどの第一印象をよくすることが大切です。
初頭効果とは
初頭効果とは、第一印象がそのまま相手の全ての印象になりやすいことを表します。ポーランド出身の心理学者ソロモン・アッシュが実験によって明らかにした効果です。その実験とは、ある2人の人物の性格を表す言葉を順に読み上げ、どのような印象を持ったか回答してもらうというものでした。
A:知的-勤勉-衝動的-批判的-頑固-嫉妬深い
出典: 見た目でわかる外見心理学(齊藤勇)
B:嫉妬深い-頑固-批判的-衝動的-勤勉-知的
みなさんは、どのような印象を持ちましたか?AとBではどちらのほうがいい印象ですか?
おそらく、ほとんどの人がAだと思います。アッシュの実験でも同様の結果が得られました。しかし、よく見てみるとAとBは全て同じ言葉です。実は、順番を入れ替えているだけなのです。人間は1番目の言葉の印象を強く受けるため、Aは好印象、Bは悪印象になってしまいがちなのです。これこそまさに初頭効果による結果です。とても興味深い心理学の効果ですよね。この心理学テクニックを面接に活かさない手はありません。
初頭効果を活かすポイント
①清潔感のある身だしなみにする。
②姿勢や歩き方に気を付ける。
③あいさつは明るくはきはきとする。
上記のことができていれば、面接官に「この人は明るくて自信のある人だ」と思われることでしょう。面接官が最初にその印象をあなたに抱けば、面接もスムーズに進むはずです。とても簡単な心理学テクニックですよね。
「こんなの当たり前だ!」と思うかもしれませんが、いざ面接になるとできないことはよくあります。緊張すると特に、猫背になったり、声が小さくなったりしてしまいがちです。そのため、家で1人のときにこっそり練習し、緊張しても自然と明るいあいさつができるように体に覚えさせましょう。
アンチクライマックス法【結論は最初に話そう】
質問に答えるとき、結論を最初に言うのと最後に述べるのとでは相手への伝えわり方が違います。面接では前者がおすすめです。
アンチクライマックス法とは
アンチクライマックス法とは、最初に結論を伝える話法です。アメリカの心理学者ハロルド・スポンバーグが1940年代に提唱しました。まだ相手との信頼関係ができていないときやビジネス上の会話で使うと効果的です。
アンチクライマックス効果を活かすポイント
・質問には、結論から答える。
面接官の質問には全て結論から答えましょう。そのほうが面接官はストレスなくあなたの話を聞くことができ、あなたの言いたいことも伝わります。
イメージしやすいように例を挙げます。
あなたが面接官だとして、面接受験者に「あなたはなぜ豚骨ラーメンが好きなのですか?」という質問をしたとします。AとB、どちらの答えがわかりやすいですか?
A「私が子どものころ、父は仕事が忙しくて私が寝た後に帰宅していました。そんな父がたまに私を連れて一緒に出かけてくれたときには、必ずラーメンを食べに行っていました。そのような父との思い出があるから、私は豚骨ラーメンが好きです」
B「私が豚骨ラーメンを好きな理由は、父との思い出があるからです。子どものころ、父は仕事で忙しいようでしたが、それでも私を連れてお出かけしてくれました。そのときには必ずラーメン屋に寄っていました。豚骨ラーメンを見ると父の愛情を思い出せるため、豚骨ラーメンが好きです」
Bのほうがわかりやすいのではないでしょうか?Aの話は「何が言いたいの?」という疑問を抱きながら聞かなければなりません。しかし、Bは結果から話しているため、聞き手は安心して話を聞くことができます。
志望動機など予想される質問に結論から答えることができるように準備しておけば、この心理学テクニックを使いこなせるでしょう。
返報性の法則【一番差がつくテクニック】
この法則が一番、他の受験者と差をつけることができる心理学テクニックです。
返報性の法則とは?
人には他人に何かしてもらったら、お返しをしなければならないと思う習性があります。これは今から50年ほど前に心理学者デニス・リーガンの実験によって提唱されたものです。知人にお土産をもらったら「お礼をしなきゃ」と思ってしまいますよね?面接官が「この段階でここまでしてくれる受験者には、『合格通知』というお礼がしたい」と思えば、採用してくれることでしょう。
返報性の原理を使うポイント
①面接官の名前を呼ぶ
人は名前を呼ばれると存在を認められた気持ちになり、うれしくなるものです。面接官もひとりの人間です。面接官の名前を事前に調べたり、名札を見てみたりして名前が判明したら、面接中に積極的に呼びましょう!
②企業の魅力を伝える
事前に企業のことを徹底的に調査しましょう。社長が出版した本やSNS、メディアがあるのならば、全て目を通しましょう。印象的な箇所を書き留めるなどして覚えていれば、面接の中で自然と企業の魅力を伝えられるはずです。あなたが企業のことを徹底的に調査していると知れば、面接官は「我が社について、こんなに熱意を持って学んでくれている」と感心するでしょう。ここで返報性の法則が効いてきます。
③自己アピールは企業にとって役に立つことを伝える
自己アピールは面接の中でもとても大切な時間です。「自己アピール」というと武勇伝を語る場だと思われがちです。しかし、面接で企業が重視していることは、受験者が企業にとって役に立ってくれる人間なのかということです。自己アピールのときには、企業が大切にしていることを踏まえて、自分ならその企業にお役に立てそうだという理由を語るのがよいでしょう。
返報性の法則が一番難しい心理学テクニックかもしれません。しかしながら、難しいからこそ他の受験者と差をつけることができます。ぜひ試してみてくださいね。
面接官がお礼をしたくなるような面接をしよう
今回は、面接で使える心理学テクニックを3つご紹介しました。
面接で一番重要なことは、面接官に「会社に役立つ人材だ」と思われることです。そのために、初頭効果であなたに好印象を抱いてもらいましょう。また、話はアンチクライマックス法という結論から先に伝える話し方が適しています。返報性の法則が他の受験者と最も差がつきやすいテクニックです。面接官に「ここまでしてくれるなら、採用したい」と思ってもらえるように調査や分析をして熱意を伝えましょう。
社会心理学と呼ばれる領域では、今回の記事で取り上げたような「対人魅力」や「態度変容」などの人間関係に関する研究を取り扱っています。興味があれば社会心理学の概要や関連する仕事についての記事もご覧ください。
健闘をお祈りしています!
参考文献
齊藤勇 見た目でわかる外見心理学 2008年10月 ナツメ社