トラブルを防ぐために気をつけていること【公認心理師・臨床心理士お仕事エッセイ~cocomomo~(7)】

トラブルを目撃してしまった精神科医

実際に心理職に就くための勉強をはじめるといやというほど学ぶことになると思いますが、この仕事は、個人のとてもセンシティブな情報にふれる機会があるため、守らなければならないルールがあります。それは、「知り得た個人的な事情を口外しないこと」、そして「相談者と個人的な関係を結ばないこと」です。毎年、これらに違反したと思われる一定数の人が、残念ながら資格を失うことになっているようです。ほかにも細かなことはいろいろありますが、心理職として自覚ある行動をしていればたいていのトラブルは防げるでしょう。以下、クリニックに勤務している私が気を付けていることについてお伝えします。

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個人情報の守秘義務を果たす

患者さんは、受付で保険証を提出し、問診票に氏名や住所だけではなく相談内容や家族歴を記入します。その段階でも、こちらには、勤務先や経済状況、家族の通院歴など相当個人的な情報が明らかにされるわけです。当然ながら、相当な理由がない限り(まずありませんが)外に漏らしてはなりません。

精神科に通院していることを知られたくない人も大勢いるはずですので、心理職だけではなくスタッフ全員が、クリニックの内外において会話する内容には気を付けています。

相談内容の秘匿

心理職としてカウンセリングを行うと、他のスタッフが知り得ないことを知ることになりますが、これも当然重要な個人情報になります。

家族や医師とどこまで共有していいか悩むところですが、カウンセリングでは、「自分が必要だと思ったこと以外は院内でも情報を共有しない」というスタンスでおり、相談者にもそのように伝えています。たとえば、自分やほかの人を傷つける可能性があった場合は、迅速に家族や医師に連絡をとるでしょう。ただし、そのときもできる限り本人の承諾をとるように努めています。

相談者と個人的な関係を結ばないこと

相談室では多くの場合二人きりですし、相手はこちらに自分の悩みや弱いところを打ち明けます。そこに親身になって話を聴いてくれる相手がいれば…多くの人は想像がつくでしょう。実際のところ、心理職と相談者が恋愛関係になってしまうケースは少なくないようです。心理職は、常にそのような「危険性」を意識しながら相談者と向き合っています。

私は、基本的には相談室外では接しませんし、電話も受付が対応しています。スーパーヴィジョンを受けたり、心理職同士で話し合ったりして、自分の姿勢を客観的かつ厳しく見る機会をもつことも大事です。

以上のようなことを常に念頭に置きながら日々相談者と向き合っていますが、気を付けていても、多少どこかでラインをはみ出しそうなことはあるものです。たとえばお歳暮やお土産などをいただいてしまうことがあったり、外で買い物をしているときに相談者に会ってしまい立ち話をするはめになったりしたことがあります。贈り物については迷いましたが、そのときは「スタッフでいただきます」として受け取りました。また、日頃はなるべく勤務先からは遠いスーパーを利用するようにしています。

相談者とのあいだであたたかな交流をもつことと、目に見えるくらいの明確な境界線を引いておくこととは、お互いの心を守るためにとてもたいせつなことなのです。

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この記事を書いた人
cocomomo

臨床心理士、公認心理師。上場企業の人事部、児童相談所、私設相談室カウンセラーを経て、現在は主にクリニックにて心理検査やカウンセリングを担当。恋愛に関することから親子関係まで、日々さまざまな悩みに寄り添う。

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