心理職の役割【公認心理師・臨床心理士お仕事エッセイ~cocomomo~(6)】

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心理職の具体的な役割としては、大きく分けて「心理検査」、「カウンセリング」、「心理教育」の三つがあげられます。医療や教育、産業など、それぞれの活動領域によってこちらにもとめられるものは少し異なることもありますが、いずれも重要な役割です。今回は、医療領域で働く私が実際どのようなことをしているのかお伝えしたいと思います。

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心理検査の実施者として

検査用具を扱う会社のパンフレットを見ると膨大な量の心理検査が掲載されていますが、よく使われるものはだいたい決まっています。私が主に実施しているのは、「知能指数(いわゆるIQ)を出すためのテスト」、「アンケートのような質問に答えてもらうもの」、「あいまいな模様を見てもらいどんなものに見えるか自由に話してもらうもの」などです。なかには内容が複雑で、実施したり結果を出したりするまでたいへんな労力がかかるものもあります。しかし、結果を出してからその内容を分析し、フィードバックするための所見を作成することのほうがずっとハードかつ重要です。本人にも負荷がかかるテストなのですから、絶対に役立ててもらうためのヒントを見つけなければと思い、私も毎回呻吟しながら作っています。

カウンセラーとして

心理職=カウンセラーだと思っている人も多いかもしれませんね。しかしこれがまた、難しく、非常にしんどい業務であったりします。当たり前ですが、友達や家族の愚痴を聴くのとは全く違います。「そうですね」とだけ言って、ただ傾聴していればいいものでもありません。また、正直なところ、悩んでいることが解決したり、症状が改善したりするケースは、そう多くはありません。私も、途中でフェイドアウトされてしまったり、症状が悪化してカウンセリングを中止し診察だけになった事例を経験しています。最初はそのたびに落ち込んだりしていました。しかし、有名な先生も事例発表のさい、「これはうまくいったケースだが、そうでないもののほうが圧倒的に多い」と話していました。もちろん、ふりかえりや勉強も大切ですが、カウンセリングが万能でないということを知っておくことは、自分の技量を上げることよりも重要なことなのかもしれません。

心理教育の実施者として

昨今、社会的場面における心理的ストレスにさらされたことに起因する悲しい出来事が後を絶ちません。ハードワークに追い詰められた自殺や、学校で起る凄惨な事件などはその一例に過ぎないでしょう。そのたびに「心のケア」に世間の注目があつまるものですが、このような出来事を防ぐために、心理教育が重要になります。私も、公的機関において、児童虐待防止のレクチャーを依頼されることがあります。具体的な行動については現場にいる人のほうがずっと詳しいものもあるのですが、心理職にはそこをひとつ掘り下げたところから示唆を伝えられることもあると思い、たいへんやりがいを感じています。もっとも、急速に変化する社会情勢に自分の心のほうが追いつけず、未熟さを痛感することも多いです。

役割を果たすためにスキルを磨く楽しさ

以上、三つの役割をお伝えしましたが、私自身どれも完璧とはほど遠い場所にいて、日々見えない心と格闘しています。だからこそ、冒頭に述べた三つの役割以外に、自分自身のスキルを磨いたり臨床研究を継続することもたいへん重要だと思っています。今のところ、その学びの過程を楽しめていることについては、合格点をあげられそうです。

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この記事を書いた人
cocomomo

臨床心理士、公認心理師。上場企業の人事部、児童相談所、私設相談室カウンセラーを経て、現在は主にクリニックにて心理検査やカウンセリングを担当。恋愛に関することから親子関係まで、日々さまざまな悩みに寄り添う。

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