心理職は、心理の専門家としての独自性や個性を活かして働ける点が魅力です。しかし、以前お伝えした通り収入は不安定なことが多く、職業としての認知度も欧米から比べると高いとはいえません。私もいまだに「…で、どんな仕事なの」と聞かれることがあります。今回は、そのような心理職をとりまく環境について、現在私が勤務している精神科クリニックでの状況をお伝えしようと思います。
仕事に慣れてからは、ほぼ定時で退勤し休暇も取りやすい
私が勤務しているのは駅前にある小さな精神科クリニックです。主な仕事は心理検査やカウンセリング、初診時の問診です。1日に担当する件数はさまざまですが、土曜はかなり混みあいます。予約制なので開始時刻は決められているものの、検査が長引くと昼休憩まで食い込むこともあります。医師から緊急に検査のオーダーが入るなど慣れるまでは大変なこともありましたが、今はある程度自分のペースを維持でき、さほどハードワークには感じていません。検査の所見やカウンセリングのまとめなども、ほぼ勤務時間内に終わらせています。
事前の申請は必要ですが、休暇も比較的とりやすいです。
面接用の部屋を設けてもらう
このクリニックでは、開院時心理職の採用予定がありませんでした。そのため、私が働き始めた当初はあいている診察室を使ってカウンセリングを行っていたのですが、常時の使用ができず、音やスペースでも不都合がありました。そこで無理を承知で専用の部屋がほしいと伝えたところ、場所を工面して部屋をつくってもらうことができました。
専用の部屋がなく、周囲に気を遣いながら共用の場でカウンセリングを行っている話も耳にします。もともと面接用に設けられた部屋ではないため環境的に満点とはいえないながらも、私は恵まれている方だと思います。
検査やカウンセリングに必要な道具について
心理検査やカウンセリングで使う道具には高価なものが多いですが、提案したものはほとんどすべて購入してもらうことができました。
ただし、あくまで道具は道具でしかありません。これらを用いて患者さんの困りごとにたいしてどう理解を深めるか、具体的にどう支援していくかは、心理職が考えねばならないことです。
また、学会参加や参考文献の購入など自己研鑽にかかる費用は、基本的には自己負担になります。
人間関係について
クリニックには、医師のほか看護師や受付事務、技師らのスタッフがいますが、現在心理職は私一人です。ありがたいことに人間関係は良好だと感じていますが、冒頭にのべたように「よくわからない職」かつ「一人職」ゆえのしんどさを感じることもあります。
とくに医師との確執は、日常茶飯事といっても過言ではないかもしれません。自分なりに職務や領分をわきまえてはいるつもりですが、心理の専門家としてどうしても譲れない領域があり、激しい問答(つまりは大げんか)の末、悔しくて泣いてしまったこともあります。
ただ、それぞれの立場から患者さんの理解や支援に努めようとしていることは違いありません。この頃は「これだけお金も時間もかけて一生懸命勉強してきたのだから、そんな簡単にわかってもらえないこともあるだろう」と自分をねぎらって(笑)、別の方法を考えるようにしています。
そんなとき「こんなことあり得ないよね」などと話し合える心理職の仲間がいたらと思うこともありますが、それはそれでマウントをとりあうとか難しい話も聞きますので、長短あるところなのでしょう。
自分で開業しない限り、心理職は必ず誰かと一緒に仕事をすることになります。相手に専門性を理解してもらうことを期待する前に、まずは自分がその場でどのような能力を提供できるかということを、目に見える形で実践していくことが大切だと思います。