これまでお伝えしてきたように、心理職は非常勤で働いている人の割合がとても高いです。また、一応常勤職として採用されていても、年度更新制で更新限度がもうけられているケースが少なくありません。したがって、実際のところ心理職のほとんどが、日常的に転職先(もしくは常勤の就職先)をさがしているのではないかと思います。
心理職が転職する理由
非常勤として働いていると社会保険に加入できないことが多いですし、住宅ローンも組みにくくなります。そのため、常勤職として安定して働ける先への転職を考える人が多いようです。既述のとおり、一応常勤職として採用されていたとしても、更新できる限度の時期が近くなれば次の就労先をさがさなければならないでしょう。また、更新制ではない常勤職として働いていても、待遇面で不満がある人は転職を考えるかもしれません。小さなクリニックでは、定期昇給がないところもあるようです(かくいう私も数年来ベースアップなしです)。
転職活動を始めるのにおすすめの時期
非常勤ないし、年度更新制の契約で働いている場合には、そこで働き始めた時点(というよりも応募した時点)で、「このあとはどうするのか」考えておく必要があると思います。時期がきたら、路頭に迷うことになってしまうからです。スクールカウンセラーや教育相談所では、前年の秋頃より募集が開始されますので、よくチェックしておきましょう。当然ですが、今年採用されたからといって来年も安泰という保証はありません。
転職先のさがし方
ネット上では、心理職を対象にした転職サイトもありますが、求人情報はあまり多いとはいえないように感じます。とにかく常にアンテナを張っておくことです。
私は、だいぶ前に派遣会社があつかっていた求人に応募したことがありました。残念ながらキャリアが満たせず、社内の人選段階でもれてしまいましたが、現在の仕事が決まってからも、別の就労先を紹介するメールが何度かきました。派遣会社に登録しておくと、一般公開される前に連絡してもらえる場合もあるのではないかと思います。
何度かお伝えしていますが、人脈もとても大事です。同窓生のメーリングリストがあればしっかりチェックしましょう。また、日本臨床心理士会、あるいはローカルな臨床心理士会や公認心理師会のサイトでも、会員限定で良質な求人が紹介されていることがあります。年会費等はかかりますが、気になる人は入会をおすすめします。
転職活動を成功させるために
就職情報をまめにチェックすることも大切ですが、自分が心理職としてどの領域で働きたいか、どんな臨床をしたいか、という点を明確にしておくことも重要だと思います。たとえば、学生相談室で働きたいと考えた場合、学生相談の経験者が応募条件であることが少なくありませんが、それに近い領域でキャリアがあるとか、一定の研究業績があればそれをみてもらえることもあるようです。現状への不満や不安にばかり焦点をあてるとつらいですが、今の就労先での仕事をしっかりとこなすことで、次の就職先に光をあてるヒントをさがせることもあるのではないでしょうか。まわりを見るとたしかに、あきらめずに地道な努力を重ねていた人が、希望の職場にめぐりあえているように思えます。