心理職の各分野における就職事情【公認心理師・臨床心理士お仕事エッセイ~cocomomo~(2)】

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「みなさんはどうして心理職になろうと思ったのかな、まあ稼げると思ったからと答える人はいないだろうけど」。大学院初日の講義で講義である教授が発した言葉です。臨床心理士や公認心理師は公に認められた資格職ではありますが、実際のところ「それがあれば食える職」とはいい難い面があります。以下、分野ごとに心理職の就職事情についてお伝えしたいと思います。

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医療分野の就職事情

街中にある小規模の精神科、心療内科クリニックの求人は少なめ、かつ週1~2日勤務の非常勤職であることがほとんどです。総合病院や病床のある精神科病院では、退職に伴う人員補充という形で常勤の職員を募集することもあるようですが、毎年新卒を受け入れているという話はあまり聞きませんのでやはり狭き門であると思います。医療分野では児童精神科もたいへん人気がありますが、そもそも子どもを診る精神科医療機関じたいが少なく、先輩の紹介などコネクションがないと求人情報すら得にくいかもしれません。報酬は所属先や勤務形態によりさまざまですが、高給とはいえないのは確かなようです。検査やカウンセリングが主な業務になりますが、受付等事務の手伝いを依頼されることもあります。他の職種や機関との連携が必要なこともありますので、柔軟な視点をもつことと協調性が大切です。

教育分野の就職事情

スクールカウンセラーを志望する人も多いと思いますが、こちらもほとんどが年度ごとに採用される非常勤職です。都道府県で採用され公立学校に配属される場合、勤務は週1~2日になります。時給、日給は高めですが、突発的な対応や保護者対象の講演など勤務時間外でも準備をしなければならないこともあります。私立学校や大学の学生相談室では常勤に近い形で働けることもありますが、やはり更新する年度が限られているケースが多いようです。不登校や発達障害が社会の関心を集めているのに比例し教育分野の求人は増えているように感じますが、安定して長く勤められる保証はないといえるでしょう。

産業分野 

特定の企業で雇用され組織の一員として社員のカウンセリングをするほか、管理職に心理教育をしたり人事関連の相談にのったりする「企業内心理職」という働き方があります。求人はやはり多くはありませんが、正規の社員として採用されれば安定して働くことができます。ただし「同僚」に相談すること、されることには抵抗があるものです。心理職で組織された機関に所属して、そこから各企業の求めに応じ専門家として派遣される働き方もあります。常勤、非常勤ともに求人は比較的みかけますが、一般企業での勤務経験が必要とされることが多く新卒の人には敷居が高いかもしれません。管理職や経営者にも対応しなければならず、宿泊を伴う出張もあります。社会常識とフットワークの軽さが求められます。

その他分野の就職事情

就労先としてはこの他、教育、福祉関連では児童相談所や児童自立支援・保護施設、教育相談所などもあります。やはり非常勤や年度更新の募集が多いようですが、正職員や公務員として採用されれば、職種や勤務日数に応じ安定した身分と報酬が得られるでしょう。公務員であれば少年院や少年鑑別所を考える方もいるかもしれませんが、「公」の分野は一人に長い期間関わることができなかったり、心理判定などで特別な勉強が必要になるなど「思っていたことと違った」と感じることもあるようです。その意味では「私設相談室」を開業すれば理想通りの働き方ができるかもしれませんが、経営という重い荷物を背負うことになります。いずれにせよ、報酬や待遇などの前に「自分が心理職としてどのように人と関わりたいか、どのような援助をしたいか」ということをよく考えておくことが大切です。

就職活動も人間関係が大切

心理職として働き始めても、臨床心理士は学会や研修の参加が資格更新の条件ですし、スーパービジョンや参考書の購入など、とにかく学びにはお金がかかります。非常勤を掛け持ちながらパッチワークのように働いている心理職も多いです。それでも、自己研鑽や学びを深めることは遠い自分への投資となると私は信じています。就活も結局は「人間関係」です。資格の上にあぐらをかくことなく謙虚な姿勢で与えられたことに真摯にとりくんでいれば、きっと評価してくれる人や環境に出会えるはずです。

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この記事を書いた人
cocomomo

臨床心理士、公認心理師。上場企業の人事部、児童相談所、私設相談室カウンセラーを経て、現在は主にクリニックにて心理検査やカウンセリングを担当。恋愛に関することから親子関係まで、日々さまざまな悩みに寄り添う。

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