厚生労働省はキャリアコンサルタントを2024年までに10万人にする目標を掲げています。10年間で2倍以上に増やす計画です。多くの有資格者が生み出されようとしている背景として、さまざまな経歴を持った「キャリア形成のプロ」が必要とされていることがあります。専業主婦も例外ではありません。幅広い可能性を持ったこの資格の活かし方を紹介します。
キャリアコンサルタントとは
キャリアコンサルタントは「職業を中心にした個人の生き甲斐、働き甲斐まで含めたキャリア形成を支援する」職業です。今日の形になるまで長く歴史がありますが、2016年4月にようやく職業能力開発促進法が改正され国家資格となりました。
資格を取得すれば未経験でもキャリアコンサルタントと名乗り、幅広く活躍することができます。
キャリアコンサルタントの資格を取得するためには
キャリアコンサルタントになるには、厚生労働省認定の講座を受講した後に、登録試験機関が行うキャリアコンサルタント試験に合格するのが一般的です。
3年以上の実務経験があれば試験を受けることもできますが、養成校に通うことをおすすめします。クライアントの職業だけでなく、ときには人生相談も受けることもあるため、理論に基づいたカウンセリングスキルを身に付ける必要があるからです。
キャリアコンサルタント資格の取り方については当サイト内のこちらの記事もご覧ください→キャリアコンサルタントに関わる3種類の国家資格
キャリアコンサルタントの働き方
キャリアコンサルタントとして活動する場所は、「どのような人を支援したい」のかで変わってきます。
職業訓練校
職業訓練校は短いもので2か月、長いもので2年間ありますが、受講生が月に1度キャリアコンサルタントと面談をします。
毎月、再就職をするための訓練を積み重ねてきた受講生のスキルや意識のチェックをしたり、ジョブカードを発行したり、就職支援講師として教壇に立つこともあります。中途採用でさまざまな年齢層の方を支援することになります。
人材紹介会社・人材派遣会社
人材紹介会社・人材派遣会社では就職活動支援を行います。面接の受け方や履歴書・職務経歴書の作成、マナー等です。こちらも主に中途採用が対象になります。
大学のキャリアセンター
新卒の現役大学生のキャリア支援を行います。面接の受け方、履歴書・職務経歴書の作成はもちろんのこと、一般常識やマナーの支援も力を入れて行います。
公共職業安定所
いわゆるハローワークの窓口職員です。さまざまな職種や年齢層の方を支援します。履歴書・職務経歴書の支援もありますが、ほとんどが窓口業務で紹介状の発行をしたりします。1年契約で国の予算がつけば更新されるパターンが多いですが、年齢が40歳を超えてキャリアコンサルタントとして未経験でも採用枠があります。
実際に私も転職活動のときに何度かハローワークに行きましたが、資格の欄に「キャリアコンサルタント」と記載すると「ハローワーク職員に応募しませんか?」と言われたことがあります。
専業主婦という肩書きも立派なキャリア
先ほど、キャリアコンサルタントは「職業を中心にした」「キャリア形成を支援する職業」と書きました。では、長らく仕事から離れた専業主婦では、キャリアコンサルタントとして活動することは難しいのではないか?という疑問が湧くかもしれませんが、そうではありません。
「キャリア」という言葉の語源は、ラテン語で「轍」(わだち=馬車が通った後に残る車輪の跡)を意味しています。辞書を引くと、「キャリア」には「経験、職業、成功、進行、進展」等の意味があります。一言で言えば、「キャリア」のイメージは「人生の中でその人が積み重ねてきたすべての経験」と、そこから描いていくこれからの「将来像」のようなものです。
専業主婦でないと経験できなかったことや家事・育児の経験を生かした職業もたくさんあります。毎日、料理・掃除・洗濯等で快適な住環境を整えること、帰ってくる家族を毎日温かく迎え入れるのは容易なことではありません。
家事や育児も立派な仕事=キャリアです。
また、キャリアコンサルタントに相談する人は一人ひとり生きてきた環境や家族構成、現在置かれている状況も違います。「お仕事はしたいけれど、家事や育児と両立できるか不安」といった相談はもちろんのこと、「長らく専業主婦をしてきたけれどそろそろ働きたい。でも、ちゃんとつとまるか不安」といった相談もございます。
そのような相談をされる方から、専業主婦からキャリアコンサルタントに転身した人が必要とされています。クライアントのモデリングとなり、勇気づけることもできるでしょう。
「やりたい気持ち」を形にしよう
キャリアコンサルタントには先ほど例に挙げた以外にも、まだまだいろいろな働き方があります。無限の可能性がある仕事です。
キャリアコンサルタント養成講座の中でも「自己理解」といって自分のキャリアの棚卸をしたり、本当にやりたいことはなにかを掘り下げていったりする授業もあります。支援の対象者ややりたいことを「見える化」しておくことで、未来の自分が働いている姿を想像できるでしょう。
「人の話を聞くのが好きだから」「社会に貢献したい」等、理由はなんでもいいです。
興味がある、やってみたい、その気持ちが大事です。
一度きりの人生、やりたい気持ちを形にしませんか?