危険すぎて中止に!心理学の有名な3つの研究を紹介

心理学のイメージをより明確にするため、今までに行われた研究エピソードを具体的に見てみましょう。慣用句的に使われているほど知名度の高い話もあれば、背筋の凍るような危険な実験もあります。心理学が取り扱う内容の幅広さがわかるのではないでしょうか。

舌なめずりをする犬
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パブロフの犬

一般的に「パブロフの犬」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。「条件反射」の代名詞のように使われています。

ソビエト連邦の生理学者、イワン・パブロフは、次のような実験をしました。唾液の量を測る機械を付けた犬に肉を与え、その際にベルを鳴らす。これを続けると、肉を与えなくてもベルを鳴らすだけで唾液が出るようになる。唾液が出ることとベルの音が関連付けられ、体が勝手に反応するようになったわけです。このような反応を古典的条件付けやレスポンデント条件付けといいます。

パブロフの実験は、心理学者たちに大きな示唆を与えました。この刺激と行動を因果関係的にとらえることは、後に認知療法や行動療法が生まれる土台となっています。

危険過ぎて中止になったスタンフォード監獄実験

「エス」という映画を見たことがあるでしょうか。ドイツのオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督による、実話を元にした作品です。

モデルとなったのは1971年にアメリカのスタンフォード大学で行われた心理学実験。この実験では、まず参加者がランダムに囚人役と看守役に分けられました。主人は行動を大幅に制限され、看守は絶大な権力を手に入れます。すると次第に看守役の参加者が囚人役を虐待するようになり、当初2週間行う予定だったにもかかわらず、わずか6日で打ち切られました。

スタンフォード実験は、役割を与えられることによって人間の行動が大きく変化することを示す結果となりました。ただ、この後に行われたいくつかの似た実験からは、違う側面からの指摘もされています。近年になり、実験そのものの信頼性に疑いを持つ声も発せられるようになりました。

スタンフォード実験の内容と、その結果から得られた知見への評価は見直されつつあります。ただ、いろいろな意味で心理学史に残る実験だったことは間違いありません。

プロスペクト理論

器具を使って実験室で行うだけではなく、アンケートによる研究もさかんに行われています。先述のカーネマンがノーベル賞を受賞したのは、プロスペクト理論の発見による功績が大きいようです。この研究では、参加者に次のような質問をします。

次のようなのゲームがあります。あなたはやってみたいと思いますか?

「勝てば150万円もらえ、負ければ100万円を払う。確率は50%ずつ。」

このような質問には多くの人が「やりたくない」と答えます。しかし次のように賞金の額を50万円だけ上げると、「やりたい」と答える人の方が多いのです。

「勝てば200万円もらえ、負ければ100万円を払う。確率は50%ずつ。」

賞金を罰金で割った期待値が1.5~2の間のあたりで、判断のポイントが分かれるようです。人間は勝つ確率と負ける確率が同じくらいであれば、賞金が罰金の2倍以上なければ、やりたがらないということになります。「負けたときの心のショックは勝ったときの2倍」というわけです。

確率論でいえば、賞金が少しでも罰金を上回れば、有利なゲームのはずです。人間の行動の非合理性を表した、とても面白い研究ではないでしょうか。

参考文献

ダニエル・カーネマン著 『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』2011年 楽工社

この記事を書いた人
しんきゃり編集部

心理学やカウンセリングに関する仕事の実態と魅力を伝えることをモットーに、情報発信していきます。心理学科卒のライター、書籍編集者、産業カウンセラーなどが在籍。

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