心理学関連で高収入を目指すなら?将来性のある職業は

「AIが人の仕事を奪う」といったことをよく聞きます。心理学関連でも同じことがいえるのでしょうか。カウンセリング系も他の領域も、いくつかの専門分野における活躍が期待されています。「心理学には興味があるけど、就職活動に不利そうだから勉強するかどうか迷っている」という人の参考になれば幸いです。

心理テストの様子
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心理学を勉強した人が皆カウンセラーになるわけではない

心理関連の職業=カウンセラーというイメージの人は多いのではないでしょうか。たしかにカウンセリングは臨床心理学を駆使した、最も主要な「心理学関連の職務」のひとつです。

しかしこれだけではありません。心理テストや研究、企業へのコンサルティングなど多岐に渡ります。心理のプロ=カウンセラーというわけでは必ずしもないのです。

カウンセリングという言葉自体、ひとくくりに考えないほうがよいでしょう。働く場所によってカウンセラーの仕事内容は変わります。例えば犯罪加害者の矯正施設に勤めるカウンセラーと福祉施設のキャリアカウンセラーでは、全く違う、というのは想像できるのではないでしょうか。

なんとなく「カウンセラーになりたい」という気持ちで勉強するよりも、具体的にやりたいこと、またはなりたい職業があり、そのためにスキルを身につけるというスタンスのほうが、より「なりたい自分」に近づけるはずです。

そもそもカウンセリングという言葉は広い意味を持っています。本来は1対1の相談援助全般を指します。化粧品の販売員をカウンセラーといったりすることもありますね。

相談を受ける役割の中で、相談する側が中心となるものをカウンセリングと呼び、相談される側のアドバイスが中心となるものをコンサルティングといったりします。

心理学を勉強した人が皆カウンセラーになるわけではありません。また、カウンセラーが皆、心理学を勉強しているというわけでもないのです。

「臨床心理学とは?」という疑問について詳しく解説した記事はこちら

心理学部は就職に有利?それとも不利?

これから進路を考える人にとっては、心理学を専攻することは就職活動にあたって有利になるかどうかということも重要だと思います。

文系科目でいうと、法学部は「つぶしがきく」専攻だといわれます。反対に外国文学や哲学など、一般的に文学部に位置づけられる学科は、就職に不利なイメージが強いようです。心理学も文学部に置かれることが多く、「就職に有利だから」という理由で選択する人はあまりいません。

文部科学省の「学校基本調査」によると、心理学科が属する人文科学と、法学部や経済学部が属する社会科学では、後者のほうが毎年5ポイント前後高い就職率を見せています。

文部科学省「学校基本調査 平成30年の概要」より

就職せず大学院に進学する人もいるので単純には比較できませんが、大学を出てすぐに働きたいのであれば、法学部や経済学部などの社会科学のほうが有利であることが推測できます。

ただ上記はかなりざっくりした数字なので、心理学が不利であると断定することはできません。
もちろん同じ心理学専攻の中にも、優秀な人とそうでない人でははっきりと違いが現れます。

どこの学科を卒業したかよりも、なりたい姿が明確になっていることや、在学中に何を学んだかのほうがよっぽど大事です。

心理のプロの収入

心理学関連の職業につくと、どれくらいの収入が手に入るのか――。気になる人は多いのではないでしょうか。

プロ中のプロである臨床心理士のデータを見てみましょう。日本臨床心理士会が2016年4月に発表した「第7回臨床心理士調査」に収入に関する調査結果が記載されています。これによると年収で最も多いのは300万円台の19.0%。400万未満が全体の半分を占めます。年収700万円以上の比較的高収入な人は5人に1人です。

日本の全産業の平均年収は400万円強ですから、大差ないようです。大学院を出て心理学関連の高度な資格を取っても、それで高収入が約束されるわけではありません。

ただ、平均的な収入があまり高くなかったとしても、それがすなわち「心理学では食べていけない」というわけではありません。実際に先ほどの調査では「『自治体派遣(スクールカウンセラーなど)』の時給が5,000 円台」との記載があります。

スクールカウンセラーとは?についての記事はこちら

一方で、特に資格を持っていなくても年収1,000万円を超えるような高収入のカウンセラーもいます。「たくさん勉強が必要な割に、平均収入が高くない」という理由で進路を決めてしまうのはもったいないのではないでしょうか。

家庭裁判所調査官や法務教官などの公務員も、比較的高い収入を安定して得られる職業です。

将来のニーズ

現状からすると、大学院のような高等教育機関で学んだ人ですら、心理学関連の職業について経済的に豊かな生活を送るのは簡単ではありません。しかしこのような状況は変わりつつあります。今注目されているキーワードは、データサイエンス、AI、公認心理師の主に3つです。

データサイエンティスト

アメリカの経営専門誌、ハーバード・ビジネス・レビューは、統計学を駆使して数値から価値を導き出すデータサイエンティストを「21世紀で最もセクシーな職業 」と高く評価をました。

国内外を問わず、最前線で活躍しているデータサイエンティストは大学院で基礎心理学を修了した人が多いようです。特に日本ではデータサイエンティスト育成する環境が整っておらず、圧倒的に不足しているという指摘があります。しかし心理学をしっかり学べば活躍する可能性が高いのです。

求人情報サイトindeedの統計によると、データサイエンティストの平均給与額は709万円だそうです(2020年10月時点)。日本人の平均年収は400万円代前半ですから、比較的高収入といえます。

興味があれば、基礎心理学に関する資格や仕事の記事もご覧ください。

AIの活躍

AI( 人工知能)進歩は目覚しく、仕事を取られることに危機感を覚える人は少なくありません。それは現に仕事をついている人だけではなく、これから就職を考える学生も同じなのではないでしょうか。

野村総合研究所の2015年の調査では、「人工知能やロボット等による代替可能性が低い 100 種の職業」の中に、次のような心理学・カウンセリング関連の資格や役割を挙げています。

  • 学校カウンセラー
  • 教育カウンセラー
  • 産業カウンセラー
  • 心理学研究者
  • 法務教官

人間の感情という機械には判別が難しいものを扱うカウンセラーは、今後ますます世の中に必要とされていくでしょう。そのときに指導者として活躍できるほどの実力を備えていれば、引く手あまたの専門家となれるはずです。安定して収入の高い仕事を得ることもできるようになるかもしれません。

公認心理師に期待

2018年、国家資格である公認心理師の第1回試験が行われ、3万人近い合格者を輩出しました。この資格が創設された理由の一つは、保険診療など法令が関わる仕事に心理のプロが関わりやすくするためです。公的に認められたことによって、心理の仕事は収入が得られやすくなることでしょう。

心の専門家は需要が見込める

現状、カウンセラーとして平均以上の高収入を得ている人は多くありません。しかしAIの台頭がささやかれる将来、安定した需要を見込める数少ない職種です。心理学には統計を駆使した数理解析の学問という側面もあります。コンサルティングなどに応用するデータサイエンティストは人材不足に陥っており、活躍している人は平均以上の高収入を得ています。人の心や行動の専門家を目指すなら、これらの職業を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献

ハーバード・ビジネス・レビュー  2012年10月号

文部科学省 学校基本調査-平成30年度結果の概要-

野村総合研究所 ニュースリサーチ  「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に ~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~」2015年

日本臨床心理士会 「第7回臨床心理士調査」 2016年4月

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この記事を書いた人
しんきゃり編集部

心理学やカウンセリングに関する仕事の実態と魅力を伝えることをモットーに、情報発信していきます。心理学科卒のライター、書籍編集者、産業カウンセラーなどが在籍。

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