心理学の歴史はどのようにして始まったのか

人間の行動全てが研究対象になり得る心理学には、さぞかし古い歴史がありそうです。意外にも科学的に研究されるようになったのは、最近のこと。どのように始まり、どのように影響を与えられてきたのか解説します。

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科学的な心理学の始まり

学術書や一般的な解説では、心理学の創始者を19世紀におけるドイツのヴィルヘルム・ヴントとすることが多いようです。彼は実験を用いて人間や動物の行動を観察する、いわゆる自然科学的方法で心理学を研究しようとした最初の人物だとされています。

ヴントの功績は次のように説明されています。

1879年にライプチヒ大学に世界最初の心理学の実験室を開設した(中略)1897年には(中略)実験心理学の殿堂になった

服部清 編著 『教育の心理学』 1975年 学文社

心理学は生まれて140年ほどの若い学問です。明治維新が1868年ですから、日本の近代化の方が先ですね。これからどのように発展していくのか楽しみです。

心理学史に革命を起こした人物たち

有名な心理学者を紹介します。彼らの功績を知れば、この学問の輪郭が見えてくるのではないでしょうか。「名前を聞いたことはあるけれど、何をした人かはよくわからない」ということもあると思います。

フロイト、ユング、アドラー

1900年代初めに起こった精神分析学も、心理学の歴史を語る上では欠かせません。無意識の世界を提唱したジグムント・フロイトは、精神医学と心理学に革命を起こしました。それだけではなく、思想史や社会学、哲学、そして芸術にも多大な影響を与えています。

フロイトと同時期に活躍した精神科医、カール・グスタフ・ユング、アルフレッド・アドラーは、20世紀の3大心理学者として知られています。

ユングは一時期フロイトの弟子として親子同然の関係を結んでいましたが、性に対する考え方の違いから、たもとを分かつことになりました。分析心理学を興した彼は、性格を「内向・外向」「思考・感情」「感覚・直感」 という3つのベクトルで説明したことでも知られています。

アドラーもフロイトと親しくしていたのですが、やはり後に別の道を歩むことになりました。彼が始めた個人心理学は、子育てや組織のマネジメントなど精神医療にとどまらないさまざまな分野で応用されています。

河合隼雄

日本の有名な心理学者といえば、ユング派の河合隼雄でしょう。臨床心理士資格の創設に尽力し、多数の著書を残した日本心理学界のレジェンドです。文化庁長官としても活躍しました。

ノーベル賞受賞者カーネマン氏とセイラー氏

2002年のノーベル経済学賞が発表されたとき、どれほど多くの社会心理学者が歓喜したでしょうか。受賞者はイスラエル出身の心理学者、ダニエル・カーネマン氏です。彼と共同研究をしていたエイモス・トベルスキーも、もし生きていれば、この栄誉を分かち合っていたでしょう。

カーネマンとトベルスキーは行動経済学を発展させた第一人者です。人間の経済行動における不合理性を、心理的な側面から明らかにしようとするこの研究は、人生における選択について示唆に富んでいます。

2017年には再び行動経済学者がノーベル経済学賞を受賞しました。受賞者であるリチャード・セイラー氏は、ひとびとが合理的な選択をするために政府や民間組織が「少しだけ」働きかけるナッジというユニークな考えを提唱しました。21世紀に入って心理学者の功績はますます注目を浴びているといえます。

心理学の歴史を作るのはあなたかも?

科学的な心理学は約140年前に生まれました。その後、19世紀のフロイトや20世紀にノーベル受賞したカーネマンなど、多くの人物によって発展しています。これからの歴史を作っていくのはあなたかもしれません。

参考文献

教育の心理学 服部清(編著 ) 学文社 1975年

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この記事を書いた人
しんきゃり編集部

心理学やカウンセリングに関する仕事の実態と魅力を伝えることをモットーに、情報発信していきます。心理学科卒のライター、書籍編集者、産業カウンセラーなどが在籍。

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