「心理学科では、人の話を聴く方法を学ぶのではないの?」と思っていると、入学後に実験や調査、統計の授業があることに驚くかもしれません。
心理学研究法とは、目に見えない心の働きを、行動や回答などのデータから科学的に調べるための考え方と手続きです。実験法、調査法、観察法、面接法などの特徴だけでなく、問いの立て方、測定方法、結果を解釈できる範囲、研究参加者への倫理的配慮も学びます。
この記事では、心理学研究の流れと代表的な方法を、初めて学ぶ人向けに説明します。心理学研究法・心理統計法・心理学実験の違いや、心理職の仕事で研究法の考え方が役立つ場面も紹介します。
心理学研究法とは、心と行動を科学的に調べる方法
心理学研究法とは、人の心や行動について抱いた疑問を、観察できるデータに結びつけて検討するための方法です。日本福祉大学の「心理学研究法」シラバスでは、心理現象への実証的な考え方に加え、実験法、観察法、調査法、面接法、検査法、研究倫理などが学習内容に挙げられています。
心理学研究法は、発達心理学や社会心理学のように、特定の対象を研究する一分野ではありません。記憶を調べる認知心理学でも、子どもの変化を調べる発達心理学でも、職場の人間関係を調べる産業・組織心理学でも必要になる共通の土台です。
たとえば、「褒められると、子どもはやる気になる」という考えがあったとします。日常経験として語るだけなら、褒めた後に熱心に取り組んだ一場面を思い出せば十分かもしれません。しかし、研究として確かめるには、「褒める」とはどのような働きかけか、「やる気」を何で判断するか、ほかの条件に違いはないかなどを決める必要があります。
心理学が日常的な人間観察と異なるのは、個人の印象だけで結論を出さず、問い、測定、分析、解釈の手続きを他者が検討できる形にする点です。
心理学という学問の特徴については、「心理学の魅力とは?知りたいのは「人の心」だけじゃない」も参考にしてください。
心理学研究の基本的な流れ
心理学研究は、実験やアンケートから突然始まるわけではありません。何を知りたいのかを具体化し、その疑問に合った方法を選び、結果からどこまで言えるのかを考えます。

研究上の問いを具体的にする
最初に、漠然とした関心を調べられる問いに変えます。
「人はなぜ忘れるのか」は興味深い疑問ですが、そのままでは対象が広すぎます。そこで、「学習直後に一度だけ復習する場合と、時間を空けて二度復習する場合では、1週間後に思い出せる単語数が異なるか」のように、対象、条件、測定時期を具体化します。
良い問いは、結果が出る前から答えが決まっているものではありません。反対の結果が出た場合にも検討できる形にします。
仮説を立て、概念を測定できる形にする
仮説とは、研究で確かめようとする予測です。先ほどの例なら、「時間を空けて二度復習するほうが、学習直後に一度だけ復習するより、1週間後に思い出せる単語数が多い」と予測できます。
ここでは、復習の仕方が独立変数、思い出せた単語数が従属変数です。独立変数は、原因として検討する条件です。従属変数は、その条件によって変化するかを測る結果です。
心に関する概念は、そのままでは測れないことがあります。「記憶力」を再生できた単語数で表すように、抽象的な概念を観察・測定できる手続きに置き換えることを操作的定義といいます。
ただし、単語数だけで記憶のすべてを表せるわけではありません。どのように測ったかによって、捉えられる側面が変わります。
研究方法を選び、データを集める
原因と結果の関係を詳しく調べたいなら実験法、多くの人の意識を知りたいなら質問紙調査、自然な場面の行動を知りたいなら観察法が候補になります。
研究方法を決める際は、対象者の人数や募集方法、実施場所、質問項目、記録方法も設計します。参加者の同意や個人情報の扱いなど、研究倫理も計画の段階から検討します。
データを分析し、結果を解釈する
集めたデータは、研究上の問いに合う方法で分析します。数値を扱う研究では、平均値、相関係数、統計的検定などが使われます。インタビューで得た語りを扱う研究では、分析の観点と手続きを明らかにしながら、内容や意味を検討します。
分析結果が出ても、研究は終わりではありません。「この方法で何が分かったか」「ほかの説明は考えられないか」「誰にまで結果を当てはめられるか」を考察します。予想と異なる結果も、研究の問いや方法を見直す材料になります。
心理学で用いられる代表的な研究法
心理学の研究方法に、常に最も優れた一つがあるわけではありません。知りたいことと、それぞれの方法で得られる情報を照らし合わせて選びます。
| 研究法 | 主に調べられること | 長所 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 実験法 | 条件の違いが結果に及ぼす影響 | 因果関係を検討しやすい | 人工的な状況や倫理上の制約がある |
| 調査法 | 多くの人の意識や行動の傾向 | 比較的多人数から回答を得られる | 質問文や回答者の記憶などに影響される |
| 観察法 | 実際の場面で表れる行動 | 言葉による回答だけでは得にくい情報を扱える | 観察者の解釈や存在が影響することがある |
| 面接法 | 経験や考え、意味づけ | 一人ひとりの経験を詳しく聴ける | 質問者との関係や尋ね方の影響を受ける |
| 検査法 | 能力や心理的特性など | 一定の手続きで測定できる | 信頼性・妥当性や実施条件の確認が必要 |
| 事例研究 | 特定の事例の経過や背景 | 複雑な現象を多面的に検討できる | 一つの事例を広く一般化できない |
実験法―条件を操作して影響を確かめる
実験法では、研究者が条件を操作し、それによって結果が変化するかを調べます。
たとえば、文章を「静かな環境で読む条件」と「会話が聞こえる環境で読む条件」に分け、内容確認テストの得点を比べる研究が考えられます。音環境が独立変数、テスト得点が従属変数です。
音環境以外の違いが結果に影響しないよう、文章、制限時間、説明などをそろえます。また、参加者を無作為に各条件へ割り付ければ、もともとの読解力などが一方の条件に偏る危険を小さくできます。
実験法は因果関係を検討しやすい方法ですが、実験室での結果が日常生活でも同じように現れるとは限りません。人を意図的に強いストレスへさらすなど、倫理的に行えない操作もあります。
調査法―質問を通して多数の人の傾向を調べる
調査法では、質問紙などを用いて、意識、態度、経験、行動などを調べます。学校生活への満足度と睡眠時間を尋ね、両者の関連を調べる研究などが考えられます。
比較的多くの人から同じ形式で回答を集められる一方、回答が事実と完全に一致するとは限りません。過去の出来事を正確に思い出せないことや、周囲から良く見られる回答を選ぶこともあります。
質問文にも注意が必要です。「スマートフォンの使いすぎは成績を下げると思いますか」のような表現は、回答を一定の方向へ誘導する可能性があります。
観察法―実際に表れる行動を記録する
観察法は、人や動物の行動を観察し、決めた方法で記録する研究法です。自然な場面を調べる自然観察と、場面や条件を設定する実験的観察などがあります。
「協力的だった」という印象だけを残すのではなく、「相手に道具を渡した回数」「困っている相手に声をかけた回数」など、記録する行動を具体的に決めます。
観察者によって判断が変わる可能性があるため、複数の観察者の記録がどの程度一致するかを確認することも重要です。また、観察されていると知った人が普段とは異なる行動を取る場合があります。
面接法―経験や意味を詳しく調べる
面接法では、研究参加者に質問し、経験や考えを詳しく聴き取ります。全員に同じ質問を同じ順番で行う構造化面接、主な質問を用意しながら回答に応じて尋ねる半構造化面接、話の流れを重視する非構造化面接などがあります。
研究のための面接は、心理的支援として行うカウンセリングとは目的が異なります。研究面接では、何のために語りを集め、どのように分析するかを計画します。録音や逐語化を行う場合は、利用目的、保存方法、匿名化などについて同意を得る必要があります。
検査法―一定の手続きで心理的特徴を測定する
検査法では、心理検査などを用いて、能力や心理的特性を測定します。研究参加者全員に同じ手続きで検査を行えば、結果を比較できます。
使用する検査が、測ろうとする特徴を適切に捉えているかという妥当性と、測定結果がどの程度安定しているかという信頼性を確認する必要があります。検査結果は、その人のすべてを表すものではありません。心理職が個人を支援するために検査を使う場合は、面接や行動観察、生活状況など、ほかの情報と合わせて解釈します。
事例研究―一つの事例を多面的に検討する
事例研究では、特定の人、集団、組織、出来事などを詳しく検討します。経過や背景を含めて、複雑な現象を捉えられる点が特徴です。
一方、一つの事例で見られた変化が、ほかの人にも同じように起こるとは限りません。事例を発表するときは、本人が推測される情報をどこまで記載するかなど、プライバシーへの慎重な配慮も求められます。
心理学の主な研究分野については、「基礎心理学の8分類と関連する資格や仕事」も参考にしてください。
量的研究と質的研究は何が違うのか
研究法を学ぶと、「量的研究」と「質的研究」という言葉も出てきます。これは、実験法や面接法と単純に並ぶ分類ではなく、どのようなデータを用いて、どのように問いへ答えるかに関わる考え方です。
量的研究は数値から傾向や関係を検討する
量的研究では、得点、回数、反応時間、選択した人数など、数値で表したデータを分析します。多くの人に共通する傾向、条件間の違い、変数同士の関係などを検討するのに向いています。
ただし、数字を使えば自動的に客観的な研究になるわけではありません。質問の作り方や対象者の集め方が偏っていれば、分析結果にも影響します。
質的研究は経験や意味の内容を詳しく検討する
質的研究では、インタビューで語られた経験、観察記録、文章などを主なデータとして扱います。「何人が経験したか」だけでなく、「本人はその経験をどう捉えたか」「どのような過程をたどったか」を詳しく検討できます。
研究者の感想を書く方法ではありません。データを収集・分析する手順を定め、どの記述を根拠に解釈したのかを示します。
研究目的に応じて使い分ける
量的研究と質的研究に、単純な優劣はありません。一つの研究で両方を組み合わせる混合研究法もあります。
また、質問紙なら必ず量的研究、面接なら必ず質的研究とも限りません。自由記述を質的に分析する質問紙調査もあれば、構造化面接の回答を数値化して分析する研究もあります。
心理学研究で間違えやすいポイント
研究結果を正しく読むには、分析結果そのものだけでなく、どのような方法で得られたかを確認する必要があります。
相関関係があっても因果関係があるとは限らない
二つの変数が関連して変化する関係を、相関関係といいます。しかし、相関が見られても、一方がもう一方の原因だとは限りません。

たとえば、睡眠時間が長い生徒ほどテスト得点が高いという関連が見つかったとします。睡眠が学習に影響した可能性はあります。しかし、生活習慣が整っている生徒ほど、睡眠時間と勉強時間の両方を確保できているのかもしれません。体調や家庭環境など、別の変数が両方に関係している可能性もあります。
また、得点への不安から睡眠時間が短くなったという、反対方向の影響も考えられます。一度の調査で相関を確認しただけでは、因果の方向や第三の変数の影響を確定できません。
測った数値が、知りたい心理のすべてを表すとは限らない
「授業への意欲」を発言回数で測定した場合、発言しないものの熱心にノートを取っている生徒の意欲は捉えにくくなります。逆に、発言回数が多くても、学習内容への関心から発言しているとは限りません。
心理学では、測定方法が概念を適切に捉えているかを検討します。一つの指標だけでなく、質問紙、行動、成績など複数の情報を組み合わせる方法もあります。
研究結果をすべての人に当てはめられるとは限らない
大学生だけを対象にした研究結果が、小学生や高齢者にもそのまま当てはまるとは限りません。参加者の年齢、文化、募集方法、実施された状況を確認する必要があります。
統計的に有意な違いが出ても、その違いが仕事や生活の中で重要な大きさかは別に考えます。一つの研究だけで結論を決めず、同じ問いを扱った複数の研究も確認することが大切です。
研究方法によって見える側面が変わる
職場の働きやすさを調べる場合、アンケートなら多くの社員の傾向を集めやすい一方、個別の事情を詳しく捉えにくいことがあります。面接なら背景を詳しく聴けますが、対象人数は限られるでしょう。離職率や残業時間などの記録からは、本人がその状況をどう感じているかまでは分かりません。
異なる方法を組み合わせれば、現象を複数の角度から検討できます。ただし、方法を増やせば必ず正しくなるわけではなく、それぞれのデータを集める目的を明確にする必要があります。
心理学研究では研究参加者の権利を守る必要がある
心理学研究では、人の考え、健康、家庭、職場、学校生活など、私的な情報を扱う場合があります。そのため、知りたいことがあれば自由に調べてよいわけではありません。
日本心理学会の倫理規程は、心理学に関係する研究や職務に従事する人の倫理上の指針を示しています。また、日本心理学会が示す投稿論文の倫理的配慮では、実験研究、インタビュー、質問紙調査、観察研究などが、原則として倫理審査を必要とする研究の例に挙げられています。
研究参加者には、研究の目的や方法、予想される負担、データの扱いなどを説明し、同意を得ます。参加するかどうかは本人が自由に決められ、参加しなくても不利益を受けないことが基本です。いったん同意した後でも、参加をやめられるようにします。
未成年者、患者、支援サービスの利用者などを対象とする研究では、研究者や支援者との力関係にも注意が必要です。同意書を受け取ったという形式だけでなく、断りにくい状況になっていないかを考えます。
心理学研究法・心理統計法・心理学実験の違い
大学では、心理学研究法とともに、心理統計法や心理学実験を学ぶことがあります。三つの科目は役割が異なりますが、相互につながっています。
| 科目 | 主に学ぶこと |
|---|---|
| 心理学研究法 | 問いの立て方、研究計画、方法の選択、測定、解釈、研究倫理 |
| 心理学統計法 | データの整理、記述、推測、仮説の統計的な検討 |
| 心理学実験 | 実際に手続きを経験し、データを分析してレポートにまとめること |
| 卒業論文 | 研究法・統計法・専門分野の知識を使い、一つの問いを検討すること |
研究法だけを学んでも、数値データを十分に分析できません。一方、統計の計算だけを覚えても、研究の問いやデータの集め方が不適切なら、意味のある結論にはつながりません。
心理学実験では、参加者として実験を経験するだけでなく、目的、方法、結果、考察をレポートにまとめます。この経験を通して、研究論文がどのような手続きで作られるかを学びます。
心理学研究法は仕事でどのように役立つのか
心理学研究法は、大学で卒業論文を書く人や研究者だけの知識ではありません。心理職や対人支援職にとっては、目の前で起きたことを丁寧に捉え、根拠の強さと限界を判断する助けになります。
心理職は心理検査や支援法の根拠を読む
心理検査を選ぶときは、何を測る検査なのか、結果はどの程度安定しているか、どのような集団を基準に作られたかを確認します。得点だけを見て個人の性格や疾患を断定することはできません。
支援方法を検討するときも、「効果があった」と紹介されているかだけではなく、誰を対象に、何と比較し、どのような指標で効果を測った研究なのかを読みます。研究参加者と目の前の相談者の年齢、困り事、生活環境が異なれば、同じ結果になるとは限りません。
心理職全員が自ら実験や調査を行うわけではありません。それでも、研究法を知っていれば、研究から確認できる事実と、実践で試みる際の判断を分けやすくなります。
詳しい例:放課後等デイサービスで活動参加の変化を振り返る
ここからは、研究法の考え方を仕事の振り返りに生かす架空例です。学術研究を実施した事例ではありません。
放課後等デイサービスで、集団活動から離れることが多い子どもがいるとします。職員が説明を短くし、写真付きの手順表を用意したところ、「以前より参加できるようになった」と感じました。
この印象を支援の振り返りにつなげるには、まず「参加できた」を観察可能な形にします。たとえば、「開始から終了まで活動場所にいた時間」「職員の促しを受けずに課題へ取り組み始めた回数」「途中で活動場所を離れた回数」などです。何を記録するかを具体的に決める点に、操作的定義と観察法の考え方が使えます。
次に、手順表を使う前後の記録を比べます。ただし、参加時間が延びても、手順表だけが原因とは断定できません。活動が本人の得意な内容だった、参加人数が少なかった、場所に慣れた、その日の体調が良かったなど、ほかの要因も考えられます。
そこで、活動内容、参加人数、時間帯、直前の出来事、職員の働きかけなども記録しておくと、変化が生じた条件を検討しやすくなります。また、一日だけで決めず、複数回の記録を確認します。本人の表情や言葉、家庭から共有された様子なども、数値とは異なる大切な情報です。
ここで重要なのは、子どもを研究対象として扱うことではありません。日常の支援記録は、本人に合う支援を考え、職員間で共有するために行います。記録を学会発表や論文などの研究に使用する場合は、所属機関の手続き、倫理審査、本人や保護者への説明と同意、個人情報の保護などを別に確認する必要があります。
研究法の考え方を使うと、「うまくいった気がする」という感想を否定するのではなく、何を見てそう判断したのかを明確にできます。その結果、支援を続けるか、条件を調整するかをチームで話し合いやすくなります。
仕事上のアンケートにも研究法の視点が必要になる
企業の人事担当者が従業員満足度調査を行う場合にも、研究法の知識が役立ちます。回答者が一部の部署に偏っていないか、回答しなかった人の意見が抜けていないか、上司に見られる不安から本音を答えにくくなっていないかを検討できます。
満足度が低い部署で離職率も高かったとしても、満足度だけが離職の原因とは限りません。勤務時間、仕事内容、人員配置など、両方に関係する要因も考える必要があります。
心理学を学ぶことの仕事上の利点については、「心理学を学ぶとどんなメリットがあるのか」も参考にしてください。
公認心理師を目指す人が心理学研究法を学ぶ意味
心理学研究法は、公認心理師を目指す人にとっても基礎となる科目です。厚生労働省が掲載する「大学及び大学院における公認心理師となるために必要な科目及び含まれる事項」では、大学で履修する必要のある科目に「心理学研究法」が含まれています。
ただし、公認心理師の主な仕事を「研究」と説明するのは正確ではありません。相談や助言、心理状態の観察・分析、関係者への援助、心の健康に関する教育や情報提供などが業務になります。
研究法を学ぶ意義は、実務で使う知識や方法が、どのような研究によって支えられているかを判断するところにあります。支援法の効果を扱う研究を読み、目の前の相談者に当てはめられる範囲を考える力につながります。
大学院進学を考える場合は、研究計画書や修士論文でも必要です。臨床実践に関心がある人にとっても、研究と実践は別々の世界ではありません。研究結果をそのまま当てはめるのではなく、根拠を吟味して個別の状況と結びつけることが大切です。
公認心理師になるための進路については、「公認心理師の受験資格はややこしい?3つのパターンに分けて考えよう」も参考にしてください。制度は変更される可能性があるため、進学時には厚生労働省や志望大学の最新情報も確認してください。
心理学研究法を学ぶときのコツ
研究法の用語は、言葉だけを暗記すると違いが分かりにくくなります。短い研究例を一つ用意し、「この研究は何を知りたいのか」「誰から、どのようなデータを集めるのか」「原因として考えている変数と結果として測る変数は何か」を探してみましょう。
論文を読むときは、結論だけでなく「方法」の部分にも注目します。対象者、人数、測定方法、比較条件が分かれば、その結果をどこまで一般化できるか考えやすくなります。
統計が苦手な人は、最初から数式だけを覚える必要はありません。平均値は何を要約しているのか、相関係数は何を表しているのかという目的から理解します。研究法と統計法を行き来して学ぶと、分析方法を使う理由が見えやすくなります。
最後に、自分で小さな研究計画を作ってみる方法も有効です。実際にデータを集めなくても、問い、仮説、対象者、測定方法、予想される限界、倫理上の注意点を書き出すと、研究法同士の違いを具体的に理解できます。
よくある質問
Q1.心理学研究法では数学を使いますか?
A. 研究法では、研究の組み立て方や方法の選び方を中心に学びます。ただし、数値データを分析するには心理統計法の知識が必要です。研究法でも、変数や測定、標本など、統計につながる考え方を扱います。
Q2.心理学研究法と心理統計法はどちらを先に学びますか?
A. 大学によって履修順序は異なります。研究上の問いや変数の意味を理解してから統計を学ぶと、計算や分析の目的を捉えやすくなります。両科目を関連づけて学ぶことが大切です。
Q3.実験をしなければ心理学研究とはいえませんか?
A. 実験以外にも、質問紙調査、観察、面接、検査、事例研究などがあります。研究目的に合った方法を選び、手続きと解釈の根拠を示すことが重要です。
Q4.心理カウンセラーにも研究法の知識は必要ですか?
A. 資格や業務によって求められる水準は異なります。ただし、心理検査の特徴や支援方法の根拠を読み、研究結果を個別の相談者に当てはめられる範囲を考えるうえで役立ちます。
Q5.文系で数学が苦手でも心理学研究法を学べますか?
A. 学ぶことは可能です。ただし、大学で心理学を専門的に学ぶ場合、研究法・統計法・実験を避けて通ることはできません。まずは数式の暗記より、「何を確かめるための方法なのか」を具体例から理解するとよいでしょう。
まとめ
心理学研究法は、目に見えない心の働きを、行動、回答、検査結果などのデータから科学的に調べるための土台です。問いを具体化し、適切な方法で測定し、得られた結果からどこまで言えるかを検討します。
実験法、調査法、観察法、面接法などには、それぞれ異なる長所と限界があります。相関関係を因果関係と決めつけず、研究対象者や測定方法も確認することが大切です。
心理職にとって研究法は、研究者になるためだけの知識ではありません。心理検査や支援法の根拠を読み、目の前の人に応用できる範囲を判断する力にもつながります。大学で学ぶ際は、心理統計法や心理学実験と関連づけて理解していきましょう。
参考文献・参考資料
- 厚生労働省「公認心理師法第7条第3号に基づく受験資格認定」(ページ内「大学及び大学院における公認心理師となるために必要な科目及び含まれる事項」を参照、2026年9月7日閲覧)
- 公益社団法人日本心理学会「公益社団法人日本心理学会 倫理規程」(2026年9月7日閲覧)
- 公益社団法人日本心理学会「日本心理学会機関誌への投稿論文に求める倫理的配慮についての考え方」(2026年9月7日閲覧)
- 日本福祉大学「心理学研究法」シラバス(2026年9月7日閲覧)
- 三浦麻子監修『なるほど!心理学研究法』北大路書房、2017年。構成確認:関西学院大学心理科学実践センターの書籍紹介(2026年9月7日閲覧)
関連記事・内部リンク一覧
画像制作案
心理学研究法とは
- ファイル名:
shinrigaku-kenkyuho-eyecatch.png - 使用位置:Cocoonのアイキャッチ画像に設定。本文中には重ねて挿入しない
- alt属性案:心理学研究法についてノートやグラフを使って学ぶ学生のイラスト
- 画像内の文字:「心理学研究法」「心と行動を科学的に調べる」
心理学研究の基本的な流れ
- ファイル名:
shinrigaku-kenkyuho-flow.png - 使用位置:「心理学研究の基本的な流れ」の導入後
- alt属性案:問いの設定から仮説、測定、データ収集、分析、解釈と公表までの心理学研究の流れ
- キャプション案:心理学研究は、結果から新しい問いが生まれる循環的な過程です。
研究目的から選ぶ心理学研究法
- ファイル名:
shinrigaku-kenkyuho-method-selection.png - 使用位置:「心理学で用いられる代表的な研究法」の導入後
- alt属性案:研究目的に応じた実験法、調査法、観察法、面接法、事例研究の選び方
- キャプション案:どの研究法が優れているかではなく、研究上の問いに合っているかが重要です。
相関関係と因果関係の違い
- ファイル名:
shinrigaku-kenkyuho-correlation-causation.png - 使用位置:「相関関係があっても因果関係があるとは限らない」の第1段落後
- alt属性案:相関関係からは因果の方向や第三の変数の影響を確定できないことを示す図
- キャプション案:相関が確認されても、因果の方向や第三の変数の影響を追加で検討する必要があります。
公開前確認事項
- 公認心理師の必要科目は、厚生労働省の公式ページで「心理学研究法」が含まれることを確認済みです。公開直前にも変更の有無を確認してください。
- 公認心理師の仕事を研究中心とはせず、研究法を根拠の吟味に生かすという範囲で説明しています。
- 日本心理学会の資料で、研究倫理の基本的な位置づけと、実験・面接・質問紙調査・観察研究などの倫理審査に関する考え方を確認済みです。所属機関ごとの規程までは扱っていません。
- 放課後等デイサービスの例は説明用の架空例であり、実在の子どもや特定の事業所の事例ではないことを本文に明記しています。
- 放課後等デイサービスの例は、特定の支援法の効果を示すものではありません。支援記録に研究法の考え方を応用する例として記載しています。
- 日常の支援記録と学術研究を区別し、研究利用には倫理審査や同意などの確認が必要と記載しています。
- 求人情報や個人ブログは一般的事実の根拠に使用していません。
- 資料で確認できる制度・倫理上の説明と、筆者による仕事上の応用例を区別しています。
- 三浦麻子監修『なるほど!心理学研究法』は書籍紹介ページで書名、監修者、出版社、刊行年、全体構成を確認しました。書籍本文からの直接引用やページ指定は行っていません。
- 内部リンク先はアクセス可能であることを確認済みです。ただし、公認心理師の受験資格記事は2020年公開のため、経過措置を含む本文の更新状況を確認してから公開してください。
- 画像内の日本語、本文との一致、矢印の向き、スマートフォンでの可読性を確認してください。
- PNGは文字と線の明瞭さを優先しています。WordPressへのアップロード後、表示サイズと容量を確認し、必要に応じてWebPへ変換してください。
- 図解は各研究法の代表的な用途を簡略化しています。研究方法が一つに固定されるという意味ではないことを、近接する本文で説明しています。
- リード文と、以下のメタディスクリプションは別の文章にしています。
メタディスクリプション
心理学研究法では何を学ぶのでしょうか。研究の流れ、実験法・調査法・観察法・面接法などの違い、量的研究と質的研究、研究倫理を初心者向けに解説。仕事での具体例や、公認心理師を目指す人が学ぶ理由も紹介します。

