「心理カウンセラーになってみたい。でもどういう仕事なのか、うっすらとしかわからない。実際にどんな仕事があるの?やっぱり大学院や専門学校に行って資格を取ったほうがいいの?」そんな疑問をお持ちの方に向けて、本記事では、心理カウンセラーになるにはどのような方法があるか、その仕事の種類と内容、資格まで詳しく説明します。情報を集めて、自分に合った道を歩んでいきたい。そんな人にこの記事はおすすめです。

心理カウンセラーの実際
では、心理カウンセラーの実際とはどのようなものなのでしょうか。まず、心理カウンセラーとは何なのかから、どのような人が向いているのか、年収など解説していきます。
心理カウンセラーとは
心理カウンセラーとは心理学の知識を基に、カウンセリングや心理検査を行う人です。カウンセリングとは、クライエントのこころの悩みを聴き、相談にのることをいいます。例えば、メンタルクリニックで診察とは別に心理カウンセリングを受けたり、学校の相談室でカウンセラーさんとお話をしたりなどです。クライエントさんの日々の悩み、人間関係、仕事、学校での悩みなどの相談にのるという、一見簡単そうに見えて難しい、現代社会において大事な業務です。
そして、心理カウンセラーがする心理検査とは、主に医療機関でする心理検査です。知能検査、発達検査、性格検査、 ロールシャッハテストなどを指します。例えば、発達障害かもしれないと考えられる時、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)という知能検査をすることがあります。心理検査の内容にも時代の流れが加味されていますし、心理検査だけではわからない、その人のこころの相互作用がありますが、ひとつの判断基準とされています。
心理カウンセラーにはどんな人が向いているのか
それでは、心理カウンセラーにはどんな人が向いているのでしょうか。5点挙げます。
最初に、傾聴ができる人です。カウンセリングにおいて、傾聴は基本のテクニックとして挙げられています。必ずしも大学院などで授業があるとは限りませんが、実際のカウンセリングでは、聴くことが重要視されています。カウンセリングをしている際に、カウンセラーが普段友達と話す時のように、自由気ままにお話をしたら、クライエントさんはびっくりしてしまいますよね。落ち着いて相手の話を聴き、クライエントの悩みを整理ができる人が心理カウンセラーに向いています。

次に、穏やかで、謙虚な人です。カウンセリングは、クライエントの悩みの相談にのるという、一見簡単に見えて難しいお仕事です。深刻な悩みを抱えている人に、その一言が大きな影響を与えたり、時には傷つけてしまうこともあるのです。例えば、うつ病などの精神疾患を抱えている人に対して、「もっとがんばれ!」や、「うつ病は、気持ちの問題だ」などと安易にアドバイスしてしまうと、クライエントさんはそのプレッシャーに押しつぶされてしまうかもしれません。心理カウンセラーは、穏やかで、知識を持った上での謙虚さが必要です。
3つ目に、気持ちの切り替えがうまい人です。カウンセリングをしていると、その相談で頭が一杯になり、疲れてしまうかもしれません。そんな時は、家族や友達と楽しい時間を過ごすのも大切です。カウンセリングの内容には守秘義務があるので、家族や友達に安易に話すことはできませんが、カウンセラーがカウンセリングを受けることもできます。カウンセラーがなんだか疲れてきたなと感じたら、守秘義務のあるカウンセリングを受けることもできるのです。このように、上手に気持ちを切り替えて、スムーズに課題解決ができると良いです。
また、心理カウンセラーには僧侶タイプの人が向いていると言われています。勇者というよりは、じっくり物事を考えて知識を蓄える人です。その中には、繊細で感受性豊かな、少し世の中が生きにくいと感じる人も含まれます。例えば、新しいプロジェクトを次々と立ち上げ、どんどん仕事をしていくより、自分で勉強して知識を得て、その上で物事を作り上げ、研究していくイメージです。勇者と僧侶どちらが良いか悪いかではなく、その人のタイプについて述べました。心理カウンセラーには、一見目立たないようで、大事な役割をしている僧侶タイプの人が向いています。
最後に、ある程度人生経験があり、課題解決ができる人です。この人だったら話を上手に聴いてくれて、いいアドバイスがもらえそうだと思う相手に、人は相談をします。または、カウンセリングの経験を積んでいて、様々なクライエントさんの相談にのっている人もそうです。今はまだ人生経験が少ないかもしれないという人でも、これから世の中で経験を積み、カウンセリングを何回も行っていく中で、課題解決ができるようになります。心理カウンセラーには、柔軟な考えができ、クライエントさんがつまずいていることに対して、視野の広い返答ができる人が向いています。
心理カウンセラーの年収はどのくらい?

それでは、心理カウンセラーの年収はどのくらいなのでしょうか。医療・福祉分野の心理カウンセラーの年収は、全国平均で459.3万円です(厚生労働省『job tag』より)。国税庁の『令和5年分 民間給与実態統計調査』によると、就業者の平均年収は460万円。データの出所は異なるものの、心理カウンセラーの年収は、おおむね平均並みといえます。しかし、専門性の高い資格を持っていたり、勤続年数が長ければ、年収はあがります。私設相談(開業)カウンセラーの場合は、年収が約1000万円以上の場合もあります。が、開業カウンセラーはその人の運営のやり方次第なので、一概には言えません。心理カウンセラーは、平均と比べて大幅に高い年収とは言えませんが、専門性のある、やりがいのある仕事です。
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心理学関連で高収入を目指すなら?将来性のある職業は
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参考文献
カウンセラー(医療福祉分野)│職業情報提供サイト(job tag)│厚生労働省
高卒で心理カウンセラーを目指す場合
高校卒業でも心理カウンセラーになれるのでしょうか。結論から言うと心理カウンセラーになれます。ただし、高卒のままでカウンセラーになるのは非常に狭き門です。『job tag』によると、カウンセラー(医療福祉分野)としている働いている人は高卒が5.8%、大卒が40.4%、修士課程卒が55.8%。大学院卒が過半数を占めている状況です。これは多くのカウンセラーが持つ臨床心理士と公認心理師が院卒者向けの資格であることに関連しています。では高卒でカウンセラーなるのは難しいのかというと、そんなことはありません。なぜかというと、これから専門学校や通信課程、大学(大学院)を目指せばいいからです。例えば、高校を卒業した後、専門学校に通う。または、働きながら、通信課程で心理カウンセラーの資格を取得できます。または、余裕があるなら大学(大学院)に進学するのもいいでしょう。このような方法で、心理カウンセラーになれるのです。それでは、具体的にどのような資格があるのでしょうか。
大学院に行かずに心理カウンセラーになるなら、精神保健福祉士という資格がおすすめです。精神保健福祉士の資格は、国家資格です。そして、通信課程もあるし、専門学校もあるのです。専門学校は夜間に行けるものもあります。大学院に行かずに取れる他の民間の資格に比べて、国家資格で、医療機関での求人もあり、より活躍しやすいと言えるでしょう。なので、大学院に行かずに取れる、世の中でポピュラーな心理カウンセラーの資格として、精神保健福祉士が挙げられます。
実際に働いている人に聞いてみました。
クリニックで精神保健福祉士をされている久保さんは「その資格でより高みを目指すならば、精神保健福祉士と社会福祉士のダブルライセンスの取得を試みるのはどうでしょうか。ダブルライセンスの取得により、専門性が高い福祉士とみなされます」と言います。先に述べたように、ダブルライセンスの取得により、仕事の幅を広げてみるのもいいのではないでしょうか。
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精神保健福祉士とカウンセラーの違い あなたはどちらを目指す?
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心理カウンセラーとして成功するには大学院まで行く必要があるのか

それでは、心理カウンセラーとして成功するには大学院まで行く必要があるのでしょうか。必ずしも大学院まで行く必要はありませんが、自分自身の可能性を増やすならば、大学院まで行くのがいいでしょう。大学院まで行けば、公認心理師や臨床心理士の資格取得が可能です。例えば、大学で心理学を学び、臨床心理に興味があり、心理カウンセラーになりたいと思っているならば、大学院まで行き資格取得に挑戦してみるのもいいでしょう。ですが、心理カウンセラーは、一筋縄では行かない人の命を扱う仕事です。それだけの時間とお金を使うという覚悟を持って、資格取得のため勉強しましょう。
しかし、自分自身の現状や、望むキャリアに合わせて資格を選んでください。例えば、仕事、家事、介護や、経済状況などで、大学院進学が現実的ではない場合もあります。その場合は、精神保健福祉士などの国家資格や、その他の民間の資格を取りましょう。様々な働き方があるので、自分自身の希望するキャリアにあわせて資格を選ぶのがいいでしょう。
心理カウンセラーの仕事の種類とその内容とは
心理カウンセラーが活躍している「6つの領域」があります。それは、医療、教育、産業、福祉、司法、私設相談領域です。それぞれについて、例を交えて説明していきます。
- 医療領域(臨床心理技術者【公認心理師】)
- 教育領域(スクールカウンセラー)
- 産業領域(企業内カウンセラー)
- 福祉領域(児童心理司【心理判定員】)
- 司法領域(法務教官・法技官)
- 私設相談領域(私設相談【開業】カウンセラー)
医療領域(例:臨床心理技術者【公認心理師】)
最初に、医療領域で働く、臨床心理技術者の例です。地方厚生局の『基本診療料及び医療観察精神科専門療法の施設基準及びその届出に関する手続の取扱いについて』によると、「心理学に関する専門的知識及び技術により、心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う能力を有すると認められる者(以下「臨床心理技術者」とい
う。)」とあります。このように臨床心理技術者を定義づけているのです。臨床心理技術者はどのような資格を持っている人を指すかというと、保険点数をつけることができる公認心理師や臨床心理士などのことをいいます。
ちなみに、いわゆる病院でするカウンセリングは、公認心理師や臨床心理士が実施しますが、デイケア・ナイトケアの職員や生活支援のための相談は、精神保健福祉士や社会福祉士がやります。
教育領域(例:スクールカウンセラー)
次に、教育領域で働くスクールカウンセラーの例です。教育領域とは、幼稚園、小中高等学校、大学、特別支援学校などです。教育領域で働くスクールカウンセラーは、児童・生徒へのカウンセリングや、教職員や保護者へ助言をする場合もあります。校内の会議があれば参加することもあります。不登校やいじめ、親子関係、学習関連などで様々な問題をかかえた児童・生徒に対して、生徒に寄り添い、専門的な知識や、これまでの経験を用いて心のケアをするのです。不登校の児童・生徒に対して手紙を書くこともあります。教育領域で働くスクールカウンセラーは、児童・生徒または、教職員や保護者に対して、専門的な知識のもと支援や助言をするのです。
次に、スクールカウンセラーの資格要件について説明します。文部科学省の『資料6「スクールカウンセラー」について』によると、スクールカウンセラーの資格要件は、「(1)財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士(2)精神科医(3)児童生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、教授、准教授又は講師(常時勤務をする者に限る)の職にある者又はあった者」といいます。スクールカウンセラーの仕事は、公認心理師、臨床心理士だけでなく、精神科医、大学の学長さんや、大学教授の方もできるのです。
また、スクールカウンセラーは非常勤講師として働く場合が多いです。賃金はほとんどの場合時給制です。出勤日数は様々で、週8時間程度で、1年契約の非常勤講師として雇用される場合がほとんどです。大半のスクールカウンセラーが、2~3校の学校をかけもちしています。スクールカウンセラーは、正規雇用として働く場合は少ないですが、それだけに柔軟に働ける仕事です。
産業領域(例:企業内カウンセラー)
産業領域とは、働く人が相手となる領域です。働く場所は、企業、その他の外部EAP企業です。EAP(従業員支援プログラム)とは、Employee Assistance Programの略です。EAPは、従業員の精神衛生を保つために、企業が費用負担をして、外部カウンセリングなどを行います。
福祉領域(例:児童心理司【心理判定員】)
福祉領域とは、人が最低限度の幸せな生活を受けられるために活動する領域のことです。働ける場所は、児童相談所や福祉施設などの公的機関、老人ホーム、保育施設などです。福祉領域は、心理職が活躍できる場所が多いイメージを持つ人が多いかもしれませんが、実際は、福祉領域は金銭的に不足しているところが少なくないです。なので、福祉領域では、公費で運用している地方公務員の職場で働く心理カウンセラーが多いです。
その中でも有名な職種は、児童相談所で働く児童心理司です。必要な資格は、大学で心理学やその他の近接した学部で学び、地方公務員の採用試験に合格したら得られます。
児童心理司は、子どもと保護者の相談に乗ったり、支援や指導を行います。また、子どもと保護者にとって必要な調査や社会診断を行います。子どもと保護者の置かれている環境などを明らかにするためです。そして、子どもと保護者の関係調整(家族療法)などをします。例えば、少し発達の遅れがある児童が、児童相談所でその相談をすることもできます。また、虐待や非行に関する相談もできます。児童心理司は、子どもとその保護者のために様々な支援を行うのです。
司法領域(例:法務教官・法技官)
司法領域とは、弁護士や裁判官、検事などの領域のことです。司法領域で活躍する心理士としては、家庭裁判所調査官や法務教官、保護観察官が代表として挙げられます。これらの職業は、国家公務員の場合もあり、必ずしも公認心理師や臨床心理士の資格は必要とは言えませんが、その資格を活かせる職業だと言えます。
私設相談領域(例:私設相談【開業】カウンセラー)

私設相談領域とは、開業と呼ばれている領域のことをいいます。働く場所は、自身で設立したオフィスや自宅などです。心理カウンセラーとして独立して、カウンセリングをする人です。SNSなどで集客をしている人も見かけますし、普段は会社で働きながら、副業としてカウンセリングをしている人もいます。新しい働き方がでてきた今日の世の中らしい業務体系と言えます。
心理カウンセラーに関連する資格
では、心理カウンセラーに関連する資格とはどれでしょうか。多くの資格がありますが、一部を以下の通りに挙げます。それでは、ひとつずつ見ていきます。
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神科医(医師)
- 精神保健福祉士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 認定心理士
- 産業カウンセラー
- 臨床発達心理士
- 学校心理士
- 教育カウンセラー
- カウンセリング心理士
- 交流分析士
- 応用心理士
- 心理相談員
- 家族相談士
- メンタルヘルス・マネジメント検定
- NLPプラクティショナー/NLPマスタープラクティショナー
- 健康心理士(日本健康心理学会)
- 音楽療法士(日本音楽療法学会)
- 行動療法士(日本認知・行動療法学会)
- キャリアコンサルタント
- 大学教授
公認心理師
公認心理師は、心理学の資格のなかで唯一の国家資格です。この記事でもよくでてくる資格だと思います。業務内容としては、カウンセリング、心理検査、集団精神療法、デイケア・ナイトケアの実施などです。公認心理師は、最近できた資格であり、国家資格なので、これからの活躍の場が広まることを願うばかりです。
臨床心理士
臨床心理士は、1988年に第1号がでた、心理学の資格のなかで歴史のあるものです。公認心理師ができる前は、臨床心理士がよく聞かれる資格でした。業務内容としては、カウンセリング、心理検査、集団精神療法、デイケア・ナイトケアの実施などで、公認心理師とあまり変わりません。臨床心理士と公認心理師の2つの資格を保持している人も少なくないでしょう。
精神科医(医師)

精神科医(医師)は、医師法で定められた国家資格です。心理学を基にしたカウンセラーに対して、精神科医は医学的な根拠のもとでクライエントさんを診断します。患者さんを診察するといった面では、精神科医も心理カウンセラーです。
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神保健福祉法によって定められた精神保健福祉領域のソーシャルワーカーに関する国家資格です。PSW(Psychiatric Social Worker)とも呼ばれています。精神科病院や総合病院の患者さんやそのご家族に対して、社会復帰をするための相談や助言を行います。例えば、大学病院やクリニックなどで、患者さんやそのご家族に利用できる制度の説明や、これからの進路の相談、また病院と患者さんとそのご家族の橋渡し的な役割をするのが精神保健福祉士です。
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社会福祉士
社会福祉士は、社会福祉士及び、介護福祉法によって定められる国家資格です。社会福祉士は、精神だけでなく身体に障害のある方や、生活保護のような環境の都合により日常生活が困っている方に対して福祉に関する助言や相談を行います。社会福祉士は、社会福祉全般についての資格で、主に相談援助を行います。
介護福祉士
介護福祉士は、社会福祉士及び、介護福祉法によって定められる国家資格です。介護福祉士は、身体や精神に障害のある方が、日常生活に支障があることについて心身の介護をします。また、その介護者に対して介護についての指導も行います。介護福祉士は、介護福祉全般についての資格です。
「日常生活に支障があることについての心身の介護」と述べたように、介護福祉士は、心のケアもすることがあります。心理と福祉をかけあわせた資格もあります。例えば、福祉心理カウンセラーや高齢者ケアストレスカウンセラーです。このように、介護福祉士には心理カウンセラーのように心のケアができるような側面も求められます。
認定心理士
認定心理士は、心理学系の学部がある大学で学び、規定の単位を取ると取得できる資格です。認定心理士の資格のみでクリニックなどでカウンセリングをする人はあまりいませんが、大学で十分に心理学を学んだ人としてみなされるでしょう。
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産業カウンセラー
産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会によって認定された民間資格です。産業カウンセラーの資格のみで、カウンセラーとして働いている人は少ないですが、人事課の職員や、管理職が受験することも多いです。クライエントさんに寄り添いつつ、人事労務寄りの会社のために働くカウンセラーというイメージです。
臨床発達心理士
臨床発達心理士は、一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構の認定する資格です。臨床発達心理士は、子どもから大人(高齢者)まですべてのライフステージの人の発達を支援します。あらゆるライフサイクルの中にいる人を発達の観点から支援するのです。臨床発達心理士は、公認心理師などのように、この資格がないと働けないというものではありませんが、発達に関する心理の専門家ということがわかる代表的な資格です。
学校心理士
学校心理士は、一般社団法人学校心理士認定運営機構に認定された資格です。学校心理士は、学校で起きる様々な課題に対して、アセスメント、コンサルテーション、カウンセリングを行います。一般社団法人の学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会のホームページによると、学校心理士の役割は4つあるといいます。それは、「心理的教育アセスメント」と、「子どもへのカウンセリング」と、「教師・保護者へのコンサルテーション」と、「学校組織へのコンサルテーション」です。このように、学校心理士は、子どもやその保護者、教師に対して、学校が過ごしやすい環境となるように働きかけをするのです。
教育カウンセラー
教育カウンセラーは、NPO法人日本教育カウンセラー協会が定める民間資格です。種類は、初級、中級、上級とあります。この資格は教育者としての資格でもあります。学校内で、教育カウンセリングを行う心理カウンセラーであり、教育者としての資格です。
カウンセリング心理士
カウンセリング心理士とは、一般社団法人日本カウンセリング学会が認定する民間資格です。さまざまなカウンセリングについて知っているとみなされ、さらに自分自身の技術の向上をすることができます。
交流分析士
交流分析士は、日本交流分析学会が認定する「日本交流分析学会認定 交流分析士」のことをここでは指します。交流分析とは、アメリカ医師エリック・バーンによって開発された心理療法です。交流分析士を持っていると、この心理療法をもちいたカウンセリングができるカウンセラーとしてみなされます。
応用心理士
応用心理士は、1933年から続く、日本応用心理学会から作られた認定資格です。個人や集団の心理学的指導に努力している人々の地位を承認するために作られました。
心理相談員
心理相談員は、特別民間法人中央労働災害防止協会が認定する民間資格です。心理相談員は労働衛生に関する資格で、研修を受講し、3日間の課程を修了するともらえます。
家族相談士

家族相談士とは、日本家族心理学会と日本家族カウンセリング協会が協同で作った資格です。一般社団法人家族心理士・家族相談士資格認定機構が認定しています。
メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルス・マネジメント検定は、大阪商工会議所と施工商工会議所が主催・認定する民間資格です。職場で働く上でのメンタルヘルスの管理の仕方を学びます。Ⅲ種(セルフケアコース)、Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅰ種(マスターコース)とあり、数が小さくなるにつれてレベルがあがります。
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NLPプラクティショナー/NLPマスタープラクティショナー
NLPとは、Neuro Linguistic Programing(神経言語プログラミング)の略で、心理学や言語学をもちいたコミュニケーションにアプローチする方法です。NLPは、3大セラピストの、エリクソン、パールズ、サティアの技術を取り入れたものです。その技術を認定されたものがNLPプラクティショナー/NLPマスタープラクティショナーです。こちらは試験などではなく、受講料を払って、トレーニングを受け、認定されるものです。
健康心理士(日本健康心理学会)
認定健康心理士とは、一般社団法人日本健康心理学会が認定する民間資格です。認定健康心理士は、健康維持・増進・予防という観点での心理学の専門家の資格です。
音楽療法士(日本音楽療法学会)
音楽療法士といわれる資格には2種類ありますが、ここでは、「認定音楽療法士」の、一般社団法人日本音楽療法学会が認定する民間資格のことを述べます(「音楽療法士(専修・1種・2種)」という全国音楽療法士養成協議会による称号もあります)。音楽療法は、音楽によるセラピーのことを言います。
行動療法士(日本認知・行動療法学会)
行動療法士とは、一般社団法人日本認知・行動療法学会が認定している民間資格です。行動療法士の資格は、2つにレベル分けされています。「認定行動療法士」と「専門行動療法士」です。専門行動療法士の方が難易度が高く、他の分野の方にも、行動療法のことをより専門的に説明できるような人のための資格です。このように行動療法士とは、行動療法の専門家なのです。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、厚生労働省が認定する国家資格です。キャリアコンサルタントは、働く人に仕事を紹介したり、キャリアプランについてアドバイスをします。例えば、ハローワークの職業相談員はキャリアコンサルタントの資格を持っていることが多いです。このように、キャリアコンサルタントは、仕事に関するあらゆることに、助言や指導をするのです。
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大学教員(大学教授)
資格ではありませんが、大学教員は、大学院の博士号を取得し、大学教員の公募に応募し採用されるとなれます。大学教員は、半期ごとに週に数コマの授業を行い、授業以外の教育研究活動や大学の運営に関する活動も行います。例えば、大学の授業だったり、学生相談や入試です。大学教員は、大学院の博士号という学位を取得するので、これといった資格は必要ありません。ですが、専門性の高い仕事です。生徒の立場にたった授業や、学生相談などでコミュニケーション能力や、カウンセリングする時に使う、傾聴力や問題解決能力が必要とされます。心理カウンセラーになるために大学院まで行き、博士号を取得した人は、そのまま大学教員になる道を考えるのもひとつです。
心理カウンセラーになるのに資格は必要なのか

では、心理カウンセラーになるのに資格は必要なのでしょうか。必ずしも必要ではないというのが結論になるでしょう。資格のあるなしにかかわらず、自分自身のキャリアプランに合わせて資格を取得していくのがいいでしょう。例えば、主に医療機関で働きたいならば、公認心理師や、臨床心理士、精神保健福祉士などの資格を取得する必要があるでしょう。
今日の社会では色々な働き方がでてきています。中には、普段会社で勤めていて、その傍らSNSなどで集客をし、カウンセリングをしている人もいます。公認心理師や臨床心理士の資格は、持っていると手堅いかもしれませんが、大学院まで行く時間や余裕がない人が多いのではないでしょうか。自分のキャリアプランに合わせて、何を強みにしてカウンセリングの技術を上げていくかなど顧客価値を考えながら、日々地道に行動していくのがいいのではないでしょうか。
どんな心理カウンセラーさんが活躍しているのか
それではどんな心理カウンセラーさんが活躍しているのでしょうか。精神科医、公認心理師の方もいらっしゃいますし、中には民間の資格で活躍されている心理カウンセラーさんも活躍されています。どんな心理カウンセラーさんが活躍していらっしゃるのかは以下の通りです。
- 香山リカさん
- 信田さよ子さん
- 武田友紀さん
- 心屋仁之助さん
香山リカさん
香山リカさんは、日本の精神科医です。臨床経験を活かして、現代人の心の問題を中心に、評論や批評をし、著書を書かれています。
信田さよ子さん
信田さよ子さんは、日本の公認心理師、臨床心理士です。原宿カウンセリングセンター所長です。さまざまな依存症や摂食障害、DVや虐待などに悩む人や家族へのカウンセリングを行っています。またその経験を活かし様々な著書を書かれています。
武田友紀さん
武田友紀さんは、日本の公認心理師で、HSP専門カウンセラーです。フリーのカウンセラーとして、繊細さん(HSPの方)向けの人間関係カウンセリングを行っています。武田友紀さんが書かれた、『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』は一時期話題になり、記憶に新しいと思います。
心屋仁之助さん
心屋仁之助さんは、2020年12月まで「性格リフォーム心理カウンセラー」として活動されていました。心理カウンセラーとして「自分の性格を変えることで問題を解決する」ことを原点とされていらっしゃったそうです。。大手企業の管理職として働いていましたが、家族や自分の問題をきっかけに心理療法を学び始めました。現在はカウンセラーを卒業し、JIN佐伯仁志として音楽活動をされています。
自分自身にあったやり方で心理カウンセラーになる
これまで、心理カウンセラーとはどのような仕事かや、その内容や、心理カウンセラーになるには大学院まで行く必要があるのか、6つの分野における心理カウンセラーの働き方、心理カウンセラーの資格23種類、実際にどのような心理カウンセラーさんが活躍しているかを解説してきました。心理カウンセラーになるには、自分自身に合ったやり方で資格を取得し、学んで行くのがよいでしょう。どんなときも人の心について自問自答し続け、心理カウンセラーという仕事について探求していく姿勢が、心理カウンセラーには大切でしょう。自分自身のいる環境にあった資格を取り、活躍できるよう日々努めましょう。


